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評論・エッセイ

破れたセーターのシリーズ

 バド・シャンクからの連想で、『ジェイムズ・ディーン物語』という映画を僕は思い出した。一九五七年にワーナー・ブラザーズが公開した、ジェイムズ・ディーンをめぐるドキュメンタリーだ。僕はずっとあとになってヴィデオで初めて見た。そのヴィデオがいまは手もとにないからなにひとつ確認できないのだが、監督はロバート・アルトマンだった。白黒スタンダード画面の、ぜんたいにわたって抑制の効いた作品だった。年配の男優がナレーションを担当していて、風格があってたいへん良かった。誰だったか思い出せない。
 早くに死んだ人が残した少ない材料を頼りに、…

底本:『音楽を聴く2──映画。グレン・ミラー。そして神保町の頃』(第一部 ミシシッピー河の鉄橋を列車が渡っていく)東京書籍 二〇〇一年

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