サンドイッチなら作ってあげます
ぼくはサンドイッチが好きだ。もっとも好きなのは、自分で作って自分ひとりで食べるサンドイッチだ。凝った材料を使って凝ったサンドイッチを作ることがぼくは出来るけれど、そのようなサンドイッチでも料理とは思いがたいので、人にはすすめない。ぼくにとってのサンドイッチは、きわめて個人的な、そしてほんのすこしだけ間にあわせの感じのある食べ物だ。
冷蔵庫のなかやキチンにそのときたまたまある材料を使って、いろんなふうに想像力をはたらかせながら、自分だけのためにサンドイッチを作るのは、かなり楽しい。ぼくはサンドイッチが得意です、と言うとあ…
底本:『きみを愛するトースト』角川文庫 一九八九年
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