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評論・エッセイ

この演奏がいまも聴こえる 切々としみじみと挫折は残響する

 二十代の前半に僕はテナー・サックスを少しだけ練習したことがある。リズム・アンド・ブルースふうに吹きまくるのが好みだし、素晴らしいお手本も見つけてあったのだが、それは後日の課題としてとっておくことにし、音量を抑えて切々と、しみじみと吹くスタイルを当面の目標とした。
 課題曲には『ユア・チーティング・ハート』と『ハーフ・アズ・マッチ』の二曲を選んだ。ともにハンク・ウィリアムズの作品だ。中学生の頃から歌詞を知っていて、したがって歌うことも出来るから、ハンク以下多くの歌手たちによってカヴァーされたものとはまったく異なる方向へ、テ…

『At Once』08 JTBパブリッシング 二〇〇九年四月

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