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評論・エッセイ

この演奏がいまも聴こえる 幸せの常として渾然一体

 一九六二年の暮れにホレス・シルヴァーのクインテットが日本へ来た。そのことに大学生だった僕は強い感銘を受けた。そうなのか、彼らですら来るようになったのか、というような感銘だ。一九五〇年代なかばから、いろんなポピュラー音楽家が日本へ公演をしに来るようになった。その傾向は六〇年代になってさらに強まった。
 レコードや映画をとおした外国の、特にアメリカのポピュラー音楽とその情報は、戦後からまだ十年の一九五〇年代なかばの日本の人たちにとっては、外の世界を貪欲に見るための、貴重な窓だった。
 東京を中心にクインテットは演…

『At Once』03 JTBパブリッシング 二〇〇八年十一月

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