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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

トイレット・ボウルにおける挫折

洗面室のなかで彼女は三面鏡と向き合っていた。電話が鳴った。洗面台の右端に充電器があり、そこに固定電話の子機が白く斜めに立っていた。それを彼女は手に取り耳に当てた。「僕です」――彼は文章を書く仕事をする人だ。そしてその仕事のなかには詩作も含まれる。

初出:『Coyote』二〇〇八年一月
底本:『ピーナツ・バターで始める朝』東京書籍 二〇〇九年

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