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評論・エッセイ

謎に満ちた午後の広場。明るい静かな陽ざしと深い影。塔の頂上の風と三角形の旗

ジョルジョ・デ・キリコのいくつもの絵は、僕の中では、ひとつに繋がった場所として認識されている。そして絵の中に描き留められた時間は、明らかに午後の時間だ。午後は一日の中で僕のもっとも好きな時間だから、時間の質においても、デ・キリコの描いた風景は僕の風景だと言える。そして風景の中の影に誘われて、僕は絵の中に入っていく。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『なぜ写真集が好きか』太田出版 一九九五年

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