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書評

報道だからこそいまも魅力を失っていない

〈書評〉木村伊兵衛著『木村伊兵衛のパリ ポケット版』

 パリのパリらしさをよく知っている日本女性に、本書『木村伊兵衛のパリ』を見てもらった。彼女は木村伊兵衛の名を知らないわけではない。彼が撮影した日本の職人や戦前の東京の街頭スナップなど、見たことはあるはずだ。しかし一九五四年、五五年のパリを彼が撮ったカラー写真は、初めて見る。
「的確です」と彼女は言った。「六十年前も現在も変わることなくそこにあるパリらしさを、正面から見事にとらえています」
 ファインダーのなかに対象をとらえて…

底本:『週刊朝日』2015年3月13日号

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