VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

ならず者街道を旅したロバート・レッドフォードは、フロンティア時代の残り香のむこうに次の時代の巨大な影を見た。

 映画『大統領の陰謀』の撮影が終ってから、男優のロバート・レッドフォードは旅に出た。アメリカの西部で人々のあいだにいまも語りつがれている「ならず者街道」1000キロを身をもって旅し、昔のアメリカといまのアメリカを同時に体験してみよう、と考えたからだ。
 ウォーターゲイト事件を材にとった映画をつくっていくなかで、ロバート・レッドフォードは、現代のアメリカがかかえているさまざまな問題を身にしみて知った。撮影が終り、ほっとしたとき、現代のアメリカというもののすべてを忘れ、つい昨日のように身近な一九世紀末のアメリカ西部という過去…

底本:『5Bの鉛筆で書いた』角川文庫 1985年

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