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評論・エッセイ

デュラム、セモリナ、アル・デンテ

 私はスパゲッティが好き、と言うならその言葉の裏づけとして、『文化麵類学ことはじめ』(石毛直道著、一九九五年講談社文庫。後に講談社学術文庫『麵の文化史』)という本を読んでほしい、という思いでこの本を紹介しておこう。この本の第十章は「イタリアのパスタ」だ。引用でつないでいくとかえって煩雑になるから、そこに記述されている歴史的事実から、必須の基礎知識だと僕が思うものを拾い上げながら、僕が再話することにしよう。
 どのくらいの種類があるのか、ちょっと見当もつかないほどに多いイタリアのパスタ類は、デュラム小麦の粉であるセモリナで…

底本:『ナポリへの道』東京書籍 2008年

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