トマト、胡瓜、豆ご飯、薩摩芋
自分のところの畑の一角には夏にはトマトが実った。海へいく途中でその畑の近くをとおるなら、寄り道をしてそこへいき、トマトを三つ四つもいで海へ持っていった。熟れる前の緑色の不思議な球体が、半分以上は赤くなっているトマトだった。海ではこれを投げ合って遊んだ。泳ぎながら野球のボールのように投げてはつかみ、海面に落ちたのに向けて抜き手で泳いでいき、標的としてふさわしい距離にいる仲間に投げる。やがてトマトの皮は破れる。かなり破れたところで、立ち泳ぎをしながらそれを食べてしまう。いまのトマトとはまるで別物の青くさいトマトのなかに海水が入り込み、ほ…
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