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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

やがて、模型たちが語りはじめる 5 太平洋戦争の記憶 コルセアに感じたアメリカの力

 誰であれその人の核心的な部分は、遅くとも三歳までにはほとんど出来上がるという説がある。この説を僕はかなりのところまで信じている。自分に照合すると、そう言っていいかなという納得はあるからだ。ほとんど出来上がるとは、その人なりの物心がつくにいたる助走路が、三歳までには何となく敷かれているという意味なのだろう。
 僕に物心がついていくための助走路は、戦争の時代を背景にしている。戦争の時代と言うよりも、敗戦が決定的になった時代といった方が正確だろう。ガダルカナル島から日本軍が撤退。ニューギニアで日本軍が全滅。ソロモン上空で山本…

『エム・キャッツ』06 二〇〇二年五月

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