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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

やがて、模型たちが語りはじめる 1 プラスティック模型が教えてくれたオート三輪の時代。

 テーブルに並べたオート三輪の模型を、いま僕はひとりで観察している。プロが作ったもの。塗装せずに組みたてただけのもの。そして部品のままのもの。それぞれに趣が違っていて、興味はつきない。1955年のダイハツC08。56年のマツダT2000。57年のダイハツ・ミゼット前期型。そして58年のダイハツ・ミゼット後期型と、マツダのK360。この5種類だ。

 プロが完璧に作って塗装も終えたものは、造形の全体がかもし出す雰囲気や風情を感じ取るのに、たいそう適していると僕は思う。組み立てただけのものは、かたちの成り立ちが…

『エム・キャッツ』02 二〇〇一年五月

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