先見日記 ほんとによく似た人
僕によく似た人が、関西から中国地方にかけて何人かいるようだ。なんとなく似ているとか、あっと思ったけれどよく見たら違っていた、というような似かたではなく、ほんとにそっくり、瓜ふたつ、完璧な空似、ひょっとしたら双子、あるいはクローン、本人以外の何者でもない、したがってそれは当人、現物そのもの、という似かたなのだ。この30年ほどのあいだに、目撃の報告が30件を越えたと思う。
つい最近も大阪から報告があった。あまりにも似すぎているから、まさにこの僕でしかないような人が、大阪のどこだったか食堂でひとり夕食を食べていたという。目撃…
『先見日記』二〇〇五年四月五日
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