アメリカン・マッスル ポータブル・ラジオのアメリカ
十二歳になる少し前、アメリカの雑誌に掲載されていた広告をとおして、ポータブル・ラジオというものの存在を僕は知った。その造形の魅力が僕をとらえた。今回のこのページには、一九五〇年代なかばのアメリカで市販されていた、当時の最新式のポータブル・ラジオが三点、描いてある。幼年期を抜けて少年へと成長しつつあった僕が、雑誌の広告で見て欲しくなったのは、このようなラジオたちだった。
日常生活のなかでごくあたりまえに使用するさまざまな物品のなかで、アメリカらしさを僕がもっとも強く感じたのは、この時代のポータブル・ラジオだ。誕生日にはな…
『Free & Easy』二〇〇六年三月号
前の作品へ