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評論・エッセイ

アメリカン・マッスル きみの瞳に乾杯

 映画『カサブランカ』のなかでハンフリー・ボガートはリチャード・ブレインという役を演じた。愛称はリックだ。リックのアメリカン・カフェという酒場を、第二次大戦中のカサブランカで営んでいる。その酒場に、ある日のこと、かつてパリで恋仲で、最終的には自分を捨てた美貌の女性、イズラ・ランドがあらわれる。「世のなかに酒場なんていくらでもあるのに、よりによってこの俺の酒場に姿を見せるとは」という台詞は、メロドラマの本質を言い当てた名言として、いまだに忘れられていない。
 パリで恋人のイズラとともに幸せだった頃のリックの台詞としてもっとも…

『Free & Easy』二〇〇五年十一月号

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