ぼくは片岡さんが大好き|第10回|よく食べるわねぇ ウォッチリストに追加 今すぐ読む ある時期、片岡義男さんと一軒の洋食屋に通ったことがあった。私鉄の大きな駅を出て一分足らずのところにその古い洋食屋はある。いま僕は「古い」ときわめて乱暴に書いたが、一九五七年に開店したというから、「古い」という言葉はぴったりとあてはまると思う。 店の外には片岡さんが愛してやまないサンプル・ケースがある。 「いいねえ」 店に入る前、僕らは儀式のようにそのサンプル・ケースをしばらく愛でる。サンプルとして陳列されているメニューを見て、今日は何を食べようかと仔細に検討する。 「よし、入ろう」… 関連作品 前の作品へ ぼくは片岡さんが大好き|第9回|ポテト・チップスならここだよ 次の作品へ ぼくは片岡さんが大好き|第11回|スローなブギとは
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