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写真は語る by 佐藤秀明(5)

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帰国後すぐの2017年11月13日、セレクトされた200枚の写真が次々とスクリーンに映し出された。すぐさまスタッフが取り囲み、その語りに聞き入ってしまった。この状況をそのままみなさまへお届けしたいと思います。全5回にわたって公開していく予定です。まさに至福のひととき請け合い、どうぞお楽しみ下さい。『ロンサム・カウボーイふたたび』とは?

全5回| 12345



今回辿るルートはラスベガスロサンゼルスキャリコサンタモニカハンティントンサンオノフレ

文中に編集部コメントが入っています!

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カリフォルニア篇へ。グレイハウンドで出発

■バスで迎える夜明け

佐藤 これはラスベガスからロスまでグレイハウンドのバスで向かってるところ。暗いうちに出発して、朝日が昇ってきたんですよ。

■BARSTOW STATION

佐藤 途中、駅に何度か立ち寄ったりね。このBARSTOW STATIONっていうのは、ラスベガスからロスへ向かう道路とルート66がちょうど合流する場所にあるんだよ。
 ここは、今はお土産売ってたり、観光施設になってるけど昔は駅だったんだよね。片岡さんの『ロンサム・カウボーイ』にもルート66沿いに貨物列車が走るシーンがあるでしょ。ここから走っていくやつなんだよ。あの奥の方に写ってる汽車、あれなんだよ。
 わりと近い所だからロスに着いてから写真を撮りに戻ってこようかと思ってたんだけど、ロスの交通事情でお手上げ。慣れてりゃいいけど、片側7車線だから。出口を探して走って脱出するのに3時間かかるって、とっても行けない。ちょっと諦めた。

■グレイハウンド

佐藤 これだよ、昔のバスと全然違う。グレイハウンドのバスの運転手さんって、マッカーサーが被ってた、ああいう帽子を昔は被ってたんですよ。かっこよかったのよ。

八巻 ロサンゼルスまで何時間くらいかかるんですか。

佐藤 いろいろ駅停まりながら、7時間か8時間ぐらいかな。

■追い越してゆくトラック

佐藤 それでロスに向けて走るでしょ。そしたらまあ速いよ、トラックが。デッカイしさ。

■バスから見える景色

佐藤 カメラ持ってバスの中をうろうろしてさ。前撮ったり、横撮ったり。

■渋滞ではありません

佐藤 これがロスだよ。怖いよ(笑)。これが全部100キロくらいで走ってんだよ。波のように押し寄せる感じ、ウワアッと。

■ユニオンステーション

佐藤 これはロスのユニオンステーション。いい駅なんだよ、とっても。

■ユニオンステーション2

佐藤 雰囲気がニューヨークのグランドセントラルとちょっと似てる。こっちの方が小ぶりだけどね。この中にいいレストランやワインバー、オイスターバーがあったりする。

■ひと工夫

佐藤 やたらに人が入ってきて席を占領しちゃうことがあるんで、ああいうふうにロープを巧みに張ってある。なかなかうまく出来てて、嫌な感じにならないように、さりげなくそういう人たちを入れないようにしてる。

■ワインバー

佐藤 中にこういうワインバーがあったりする。

■やさしい光

佐藤 午後はちょうどいい光が入るの、ここは。

■絵画の世界

八巻 これロビーか何かですか。

佐藤 待合室。

■ご自由にお弾き下さい

佐藤 ピアノが置いてあってさ、誰が弾いてもいいんだよ。
 小さな子供が弾いてたから慌ててカメラ出そうと思ったらこのおとっつあんが弾き始めちゃった(笑)。

■軽めのお別れ

佐藤 お別れのシーン。なんか深刻さはなかったね。じゃーねーって感じ。
 昔ローマのテルミニって終着駅で、男女の別れのシーンを撮ったことがあって、それを思い浮かべながら撮ったんだけどね。なんか違うぞお前ら、もうちょっと深刻になれよって思ったけどならなかったな、この二人(笑)。中国系だったな。

■自転車持ち込みOK

佐藤 折り畳みの自転車を持って入れる。駅に着いても自分の家まで遠いから、年寄りはみんな自転車に乗ったりする。

LAのメキシコ人街。人を撮るときはサッと瞬時に

■いつでも陽気に

佐藤 ユニオンステーションのすぐ脇はメキシコ人街だから、年がら年じゅうお祭り状態なんだよ。マリアッチ弾いて、チャカチャカ踊ってんの。何十年も前に来た時も同じように踊って、賑やかにしてた。懐かしかったな。

■伊達

佐藤 伊達じいさん。

■入れ墨の女

佐藤 片腕が全部入れ墨だらけのちょっと不思議な女もいた。こういう写真撮る時は、ササッと撮ればいい。「あれー?」とか言って、カメラを見るふりしてさ(笑)。

北條 調べるふりして、パッと撮っちゃうんですね。撮りますよーって言っちゃったら……。

八巻 ダメって言われますよ、絶対。

■シルエット

佐藤 夕暮れです。

■壁一面のペインティング

佐藤 ロスはペインティングだらけでね。でもこれ、時間をかけてちゃんと撮ったら面白いだろうね。

■ダウンタウンという街

佐藤 ちょっとぶらぶら歩いて写真撮ったんだよ。これはダウンタウン、要するに貧しい人たちのエリア。ここの近くにホームレスしかいない通りがあって、そこはすごかったよ。テントがバーッて並んでるんだよ。パトカーが「ここは入るな」って塞いで、外から来た人間は入れないようにしてた。半端じゃないね。やっぱり身の危険は感じるよね。

■アート作品

佐藤 みんなペインティング。

■ペインティング通り

佐藤 右側が日陰だけども、みんな同じように塗ってあるんですよ。曇りだったら両方見えるけどね。

■平和な日曜日

佐藤 車少ないでしょ? 日曜日なんですよ。これが平日だったら怖くてこんなにのんびり撮っていられないかもしれない。

■棚

佐藤 少しルート66の方へ行ってみようと思ったんだけど、時間がかかりすぎてやめたところです。

キャリコというゴーストタウンからルート66の終点へ

■ポーカーテーブル

佐藤 ルート66の途中にキャリコっていうゴーストタウンがあるんですよ。そこの酒場の中です。

■キャリコの小学校

佐藤 これが、そこのゴーストタウンの中の、かつて小学校だった建物。

■100年前の笑顔

佐藤 ボロボロの家の中に、かつてこの街に住んでた人のボロボロの写真がいっぱい飾ってあったの。100年前の写真だからいいだろうと思って撮ってきて、修正して載せたの。

■保安官の記念写真

佐藤 これ、保安官だよ、本物の保安官。100年前だよ。今の映画のようにかっこよくないよね。

■キャンディ1粒10セント

佐藤 お菓子屋さんのキャンディ。1粒10セント。高いね、やっぱり。昔行った時はガムが1粒1セントだった。ニューヨークの地下鉄の駅に、1セント入れるとガムがカチャンと出てくる機械があったね。でも機械がときどき故障してさ、警邏中のお巡りさんが警棒でバーンって叩くんだよ(笑)。そうするとポロッと出てきたりする。

■おひとついかが

佐藤 これもキャンディ。

■白い薔薇

佐藤 ゴーストタウンの家に咲いてた薔薇。

■ルート66の終わりに

佐藤 これはルート66の終点。ボイジャーさんが昔あったっていう、サンタモニカのピアですよ。

■海と遊園地

佐藤 僕がこの辺のベンチに座ってたら、近くでたむろしてたメキシカンのグループが俺の方を全員で見てんだよ。これは危ねえなって思ってたの。
 そしたらそのうちの一人がスーッとこっちへ来てね、俺の隣に座ったんだよ。これは来たなと思ったから、いきなり立ち上がってそいつに「よう!」「ハロー!」って言って、そのままスッと行ったら向こうはあっけにとられてた。あれは危なかった。

■ここからサンタモニカ

佐藤 これが入り口。「ルート66はここでおしまい」って意味。
 ここら辺もずいぶんと変わりましたよ。ショッピング街が出来ちゃって。

■イカすだろ?

北條 (笑)。楽しいですね。

■砂浜でひといき

佐藤 サンタモニカのピア。マリブの反対側です。

■ジェットコースター

佐藤 ジェットコースター。もうちょっと、子供でもたくさん乗ってたらよかったんだけどね。

■ゲームセンター

佐藤 昔懐かしいようなゲームもいっぱいあるのよ。

■クラシックなメリーゴーランド

佐藤 このメリーゴーランド、結構歴史のある有名なメリーゴーランドなのよ。古風なやつで、いろいろ映画に出たりしてるんだ。

■夢のひととき

佐藤 女の子が乗ってるね。

■また日が沈む

佐藤 夕暮れ。

■たそがれの時間

佐藤 夕日を見ながら一人でビールを飲んでる男がいました。
 今は結構坊主が多いから、昔みたいに雰囲気がないんだよなあ、なんとなく。

海へ、サーフィンの方へ、そしてマイク・パーパス

■夕日をバックに

佐藤 ハンティントンビーチ。夕日がきれいだった。
 スケボーに乗ってる彼は犬に自分を引っ張らせて走ってたね。俺の前を通り過ぎる時に、「いいのが撮れただろう」って、喜んでいた。

■どれが本物?

佐藤 波乗りのモニュメントと周りの人がうまく混ざってる。

■広い砂浜と家の密度

佐藤 家がびっちり。でも、いいよね。

■THE LIGHTHOUSE CAFE

佐藤 ここは有名な映画の舞台になったの。“LIGHT HOUSE.”なんていう映画だったかな、ちょっと忘れちゃった。

■お店の駐車場

佐藤 いかにもカリフォルニアでしょう。この店は、なんとかジョーって有名な自然食のお店。

■ほぼ渋谷

佐藤 ハロウィンの仮装大会です。

■貨物列車

佐藤 ルート66の方を撮りに行きながら、これは撮ろうと思って。この列車を追いかけていたんだ。長さは2キロ近くありますね、全部で。

■列車は続くよどこまでも

佐藤 全部貨物。みんなコンテナですね。

八巻 どれくらい馬力が要るんでしょうね。

佐藤 どうかな、2両くらいで引っ張っていましたね。

■サンオノフレ

佐藤 これがサンオノフレというちょっと有名なサーフポイントなんですが、ここはすごくいい波。マイク・パーパスっていう昔の有名なサーファーに連れていってもらったんだけど、彼は俺のことそっちのけで、ダーッと入っていったね。

■光と波

佐藤 ここに昔は原発があった。今はなくなったけど、昔はこの辺はずいぶん汚染されていた。

■サーファーの朝は早い

佐藤 この車の持ち主は、8割がリタイアした老人たち。元気にサーフィンしてる。平日の朝だから、若い人は仕事でいない。

■タンデム

佐藤 これはね、タンデムの練習をしている。彼らはタンデムのかつてのチャンピオンだったんだって。メダルを狙っているんじゃないかな。朝早くから来て練習をしている。

■サーファー仲間

佐藤 一番右がマイク・パーパス。その隣はジョーイなんとかさん。すごいんだよ。この人は町の中を歩くときは猫背で本当におじいさんなんだけど、ウェットスーツ着ちゃうと、シャンとしちゃう。背の高い奴が唯一の若い人。ライフガードをやっている男で、今日は波乗りを楽しみに来たとか言っていたね。

■何層にも重なる波

佐藤 いい波だよ。狂おしい波というかね。ソルトウォーターワインですよ。こういう波はないよね、日本には。

■なめらかに壮大に

佐藤 サーファーがいるね、ここに。どれだけ大きいかわかるでしょ。

■波に揉まれて

佐藤 すぐに上がってくる人がいる。疲れちゃうんだね、年寄りだから。

■伝説のサーファー

佐藤 マイク・パーパスおじさん。この人はサーフィン一筋の人生でさ、3年前かな? 日本の千葉のサーフショップへ招待したのよ。その時に東京のパレスホテルに泊まったんだけど、草履履きでやってくるんだ(笑)。ずだ袋を持ってて周りがびっくりしたらしい。

■サーフィンの相棒

佐藤 見つけましたよ。こんな車で来てる人がいた。

■イルカも遊びたい

萩野 イルカですか? 人の近くまで来てますね。

佐藤 人がいなければイルカも波乗りするからね。これはサーファーがいるから横切って行っちゃったけど。結構遊び心は盛んなんだよ、イルカって。

■しぶき

佐藤 ピアに当たる波しぶき。

■夕日を反射する家々

佐藤 夕方。

■マリブ

佐藤 マリブです。ここに僕が行った時、偶然ロングボードにぴったりの波が来てた。こういう波は久しぶりなんですって。ロングボーダーがいっぱい集まってて、カメラマンもいっぱい来て、写真撮ってましたよ。ロングボード用の波はそんなに大きくないんだけど、マリブの右端の方の岬から波が引っ掛かってきて、きれいに割れてくるわけ。それに、ゆったりと乗るのが、マリブ式の乗り方なんだよ。

■マリブの波

佐藤 ほら、これがその波。みんなロングボードなんだ。そしてみんな年寄り。

■伝説の証

佐藤 ハンティントンのピアにマイク・パーパスのレリーフが刻まれてて、彼はこれがすごく自慢なんだよ。これを見てくれって。

■若かりし頃

佐藤 マイク・パーパスの家の部屋に飾ってあった昔の写真を撮った。彼はこの中のどこかにいるんだよ。この中の誰かがマイク・パーパス。

■もう一人の伝説

佐藤 これがね、ハップ・ジェイコブス。そろそろ90歳になる。
 戦後、初めて日本人がサーフィンを始めたのは、江ノ島の鵠沼なんだよ。アメリカの兵隊さんがやってて、それを見て日本人もやり始めたんだよ。板もなんとか見よう見まねで作ってたんだけど、同じころ、湘南のお金持ちのボンボンたちはカリフォルニアからこの人の作った板を輸入してた。加山雄三とか、そのおやじとかが使ってた板はみんなこの人が作ったんだよ。だからジェイコブスの板っていうと、あの当時の日本の若者はみんなため息をつきながら見たもんだ。
 その人が生きてるってんで、写真撮らせてくれって行ってみたら、すごく感じのいい人だった。今でも伝説の存在で、週3日だけ仕事が来て板を作ってる。

■作る伝説と乗る伝説

佐藤 マイク・パーパスが自分で板を注文してるんです。

■計測

佐藤 日本のサーフィン専門誌とかスポーツ専門誌はよくこの人のところに取材に来てたんだよ。でも板を作ってるところを撮らせたことはないんだって。僕が初めてみたいだよ。

■品質保証

佐藤 “JACOBS PERFORMANCE.”

■みんなで

佐藤 最後は記念写真。

■ここが俺の部屋

佐藤 マイク・パーパスの部屋。きったねえんだ。モノクロにすると汚さが少しは緩和される。
 何人の女性と浮名を流したのか。それでみんな怒って出て行くんだ(笑)。でも一人だけ本当に彼が愛した女性がいて、その女性を描いたサーフボードというのが彼の部屋にあるんですよ。飾ってあった。

■壁一面の記憶

佐藤 みんな彼の若いころの絵とか写真です。いろんな雑誌に載ったりしたんだ。

■しみだらけの思い出

佐藤 この真ん中ね。僕が昔会ったマイク・パーパスはこうだった。1970年代でしょ、これ。

北條 ビージーズみたい。

佐藤 そう、あの時代だよ。

■壁にサーフボード

佐藤 食事に行ったメキシコ料理屋で、彼のサーフボードが飾ってあった。

■トマトケチャップ

佐藤 これ片岡さん好きそうじゃない?

一同 (笑)

八巻 あのケチャップの瓶ね。

佐藤 これもメキシコ料理屋なんですけど。よくメキシコ料理に付き合わされるんですよ! やんなっちゃうよ、ほんとに。

■コーヒーフレッシュ

佐藤 こんなのも好きそうじゃない?

北條 確かに、こういうの撮ってますよね。

■帰ろうか

佐藤 これは、レドンドビーチだな。


佐藤 はい、これでおしまいですね。

萩野 すばらしい。

(拍手)

エピソードはまだまだ尽きない

北條 おなかいっぱいですよ。いやあ、すばらしかった。
 改めて振り返って、三十年ぶりの場所はいかがでしたか? 実際行かれて、いろんなことを思われたでしょうけど。

佐藤 三十年……もう絶対変わってると思ってたけど、変わってるなかでも変わってない部分を一生懸命探そうとするんだよね。それが楽しかったね。あれもあったな、これもあったなって。あの道路ですよ。“The Loneliest Road.”

北條 当たり前ですけど、日本と全然違いますね。日本で暮らしてるとこういう場所ってまず、ない。何もない所と、ひしめいてる所のギャップもすごかったです。

佐藤 ロスの道路とかね……思い出したら頭が痛くなってきた(笑)。どこをどう行っていいか本当わからないんだよ。EASTとかWESTしか書いてないから。

北條 日本だといちいち行き先が書いてありますからね。

佐藤 一応、おおざっぱに書いてある所もある。「ラスベガス」とか「ロサンゼルス」とか。

北條 それじゃ、超おおざっぱですね(笑)。


佐藤 ロンサム・カウボーイっぽかった?

北條 もう本当に“ロンサム”でした。たった2時間ぐらい見せていただいただけですけど、体験した気になっちゃいました。でもこれはかなりお疲れになっただろうな、というのもよく伝わってきました。ずっとおひとりですものね。

佐藤 そうなんだよ。ちょっと山の途中で車を停めて、そこからうろうろしたりするじゃない。それが疲れたね、やっぱり。あんなことしなきゃよかったって思うよ(笑)。

北條 でもやっぱり、行きたくなっちゃうんですよね。
 太陽の光も、何か違いますよね。光のもたらしてくれるものが違うなっていう感じがします。

佐藤 光によってモノがずいぶん違って見える。余分なものがないから、光がこっちから当たったらどうなるかっていうのが容易に想像できるんだよ。そうすると、そのために1日延ばしちゃったりするわけ。そしたら曇っちゃって失敗したりね(笑)。

北條 でも、写真を見せていただいてる限り、どれも天気がいいですよね。雨は降らないんですか?

佐藤 ネバダは雲が一つもない。夕方に1回だけ、少し雲がかかったかな。でもそれだけ。あとは全部スカーッと晴れてる。

北條 それはいつもそういう感じなんですか、それとも運がよかったんですか?

佐藤 いや、いつもそう。そういう所なんだ。

北條 雨が降らない。

佐藤 人間は横柄だよね、太陽が照ってることしかわからないからさ。雨によってもたらされるいろんなことがあるじゃない。そんなことわからないでしょ、あの人たちには。

北條 こういう環境だったらわからないですよね。


佐藤 オースチンのバーで飲んでる写真があったじゃない、現代のさ。一番端っこに座ってた女の人は牧場をやってた人なんだけど、リタイアしたんだって。それでね、鞭持ってるんだよ。バシーンッて振って。

北條 持ち運びしてるんですか。こわい(笑)。

佐藤 あたし、これで男を打つのって(笑)。それは冗談で言ってるんだけど、隣で飲んでた若い男がね、「それじゃ打ってもらおうかな」って言ったら、「いいわよ」、バシーン。

北條 ほんとにやったんですか。

佐藤 いや、やる真似しただけなんだけどね。でも鞭を首に巻かれて引っ張られてたよ。


北條 年齢の高い人たちもいっぱい写っていました。

佐藤 子供はいないですね。

萩野 みんな三十年経っちゃった(笑)。

北條 みんなそのままスライドしたっていうことですね。懐かしい再会なんてことはありましたか?

佐藤 ないです。ただ最後、マイク・パーパスね。ああいう連中は懐かしかった。

萩野 でも同じサルーンが残ってたりといったことはありましたよね。だいぶ様子は違ってるけど。

佐藤 そうですね。外見はまさに、ちゃんと同じ姿でした。

北條 この写真で見せていただいたのが、さらに5年、10年経つと、また変わるかもしれないですよね。だから、もしかしたら最後の貴重な姿がここに写されてるのかも。

萩野 今日は本当にお疲れさまでした。

北條 佐藤さん、ありがとうございました。

2017年11月13日
株式会社ボイジャーにて


写真は語る by 佐藤秀明・連載全5回はこれで終了です。
 
この連載で掲載した写真の数は計244枚。まだまだたくさんの素晴らしい写真が残っています。来春、これら写真を選択していただき、ご自分のスペースに飾ってもらう企画をスタート致します。
 
お申し込み詳細は後日、お楽しみに!


新企画はこうしてはじまった
サポータってなんだろうね……よくわからないナ。
ちょっと困ったような顔をして片岡義男さんが呟いた。

『ロンサム・カウボーイふたたび』誕生の背景はこちら
サポータとは?


2017年12月25日 12:00

片岡義男とも深い交流のある写真家・佐藤秀明が、30年ぶりにアメリカの地に訪れる。自身が“ロンサム・カウボーイ”となり、どこまでも続く乾いた土地を走りながら、かつての風景との違いを写真に収めていく。