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写真は語る by 佐藤秀明(4)

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帰国後すぐの2017年11月13日、セレクトされた200枚の写真が次々とスクリーンに映し出された。すぐさまスタッフが取り囲み、その語りに聞き入ってしまった。この状況をそのままみなさまへお届けしたいと思います。全5回にわたって公開していく予定です。まさに至福のひととき請け合い、どうぞお楽しみ下さい。『ロンサム・カウボーイふたたび』とは?

全5回| 12345



今回辿るルートはトノパーゴールドフィールドラスベガス

文中に編集部コメントが入っています!

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トノパーの続き。昔日のクルマのなんという品のよさ!

■Tonopah Liquor Company

北條 “TONOPAH LIQUOR”って書いてありますね。こういう字を書くんですね、トノパーって。

■ショーウィンドウの中のカウボーイハット

佐藤 カウボーイショップがあった。

八巻 本当の、本物のカウボーイ? カウボーイの人たちは、数は少なくなってると思いますが、いるんですか?

佐藤 いますいます。牧場のことをランチっていうけど、たくさんあるんだ。そこでは今でもちゃんと牛を追ってる。街よりランチの方が人口は多いんじゃないかな。それでたまに休暇で町へ出てきて、パーッと飲む。
 馬に乗ったり一応するけれど、今はヘリコプターに乗ったりするからね。

■空の色と看板の色

佐藤 僕が泊まったモーテル。ナショナル・ナイン・イン。なんでナインかっていうと、昔は1泊9ドルだったんだって。そこから始めたらしいんだ。

■トノパーの住宅街

佐藤 トノパーの住宅街を歩くとこういう古い車が停まってたり、家もちょっと古くて、なかなかいいんですよ、雰囲気があって。

■取り壊し寸前

佐藤 取り壊し直前の家。まだ人が住んでて、持ち主が裏で薪割りしてた。カーンカーンって。だけどほら手前にもコーンが立ってて、ここにも家があったんだろうね。もうほとんどみんな取り壊されちゃってるんだ。街はどんどん廃れていく一方。

■絵に描いた豪邸

佐藤 トラックが停まってて、車体に立派な家の写真が貼ってあるんですよ。それで後ろの建物は廃屋なんです。不思議な感じでしょ。住宅建材か何かの会社かな。たぶん近くのモーテルに泊まってたんだろうね。

■まだ動く車

佐藤 これはちゃんと動く車。

■もう動かない車

佐藤 こっちはパンクしてた。キャデラックだね。街歩くと、こういうのがゴロゴロしてるわけ。まあ楽しかった。

■兵どもが夢の跡

佐藤 街の外れに行くと、鉱山の掘った跡がある。そういう廃墟が延々とそのままほったらかしになってて、人が近づくと穴に落っこちたりするから危ないよっていう柵があったりする。

■冷たい風が吹く

佐藤 町をちょっと高い所から俯瞰して撮った。もう秋も終わってほとんど葉っぱが落ちちゃってる。風が冷たくてね、もうじき冬だからみんな薪を集めてた。

■放置されたキャンピングカー

佐藤 昔、金や銀を求めて来た人たちは、ここに永住するつもりはないからこういうキャンピングカーで来る。キャンピングカーで寝泊まりしながら、金銀掘ってたんだよ。用がなくなると、そのままキャンピングカーを捨てて出てっちゃう。だから街じゅう至る所にキャンピングカーがいっぱい捨ててある。でも今このキャンピングカーって、すごいブームなんだよ。このキャンピングカーが欲しいって人はたくさんいるんだ。

■鉱山に囲まれた街

佐藤 向こうにずーっとあるのが、普通の住宅街。周りは全部鉱山。まだ掘ってるけど、かつてのようにたくさんは出ない。

■山の中の“T”

佐藤 こうやって撮りながら、知らず知らずのうちに山を登っちゃってたりするんだよ。それがくたびれた(笑)。

萩野 あそこの「T」ってなんですか?

佐藤 トノパーの「T」です。ハリウッドなんかが有名ですけど、アメリカってこういうのがある。

■かつて車だったもの

佐藤 こういう車の残骸が置いてあったりする。廃墟が好きな人だったらここでいくらでも写真が撮れるね。

■割れたフロントガラス

北條 これは銃弾ですか?

佐藤 銃で誰か撃ったんだね、きっと。

■森の入り口

佐藤 これは……(笑)。ちょっと外れた所にあった、車の森だね。カー・フォレストっていうんだ。すごいんだ、これが。

廃車は捨てるものではない、埋めるものだ

■これが「カー・フォレスト」だ

佐藤 ジャーン。

一同 (笑)。

北條 これは何ですか? アートみたいなものなんですか?

佐藤 いや、廃車にすると、ここへ持ってきちゃわざとこんなふうに埋めるの。埋めたい奴は自分で来て、自分で埋める。

■バスが立つ

萩野 バスですか! よく倒れないですね。これはどうやって立ってるんだろう。

佐藤 ボンネットが埋まってるんだよ。

■森は続く

佐藤 撮ってて面白かった(笑)。

■雲とバス

佐藤 近くに空軍基地があって、ジェット機で訓練しててすごいんだ。しょっちゅうビュンビュン飛んで、すげえシュールな世界でさ。

■ちょっとカッコつけて

佐藤 モノクロにしてみたんだ。いいでしょ。

■ヒッピーアート

佐藤 1960年代、70年代のヒッピーアートなんだって。ヒッピーが作ったらしい。

■ハトに人気の家

佐藤 この家には変わったおやじが住んでて、ハトにエサやってるんだよ。エサの時間になるとバタバタって寄ってくるんだ。
 ここはゴールドフィールドっていう街。ここはまたすさまじい所でね、ほとんどゴーストタウンなんだけど、みんなこういうひどい家に住んでるんだ。こんな所に住んでないだろうっていうような所に住んでたりするからさ、面白いんだよ。

■整列する廃車

佐藤 車。整然と並んでいるように見えるけど、これみんな捨ててある。
 でももらってくればたぶん直せるよ。どこがいけないんだろうと思ってのぞいてみたけど、外観が錆びてるだけでちゃんとしてるもん。あと問題はエンジンだけどね。

■COLUMBIA BAR

佐藤 バーです。夜はちゃんと営業するんです。でも、こっちは入る気がしなかったな。この隣にサルーンがあるんだよ。そっちに目が釘付けだったから。

■錆びてるのは当たり前

佐藤 これは動いてるところを見なかったな。
 で、この車の正面にサルーンがあるんだよ! あのサルーンがすごい。

■メーカーを当ててみよう

佐藤 これはオートバイだよ、昔の。

■広く開けた場所

佐藤 こういう所なんだよ、ゴールドフィールドっていう場所は。

八巻 “SALE”って書いてあるけど、何を?

佐藤 土地だね。土地売りますって書いてある。

100年以上営業しているサルーンへ

■お高いモーテル

佐藤 右奥の建物に“MOTEL”って書いてあるでしょ。ここに泊まったの。こんなに場所のいい所があったかと思ってさ。でも高いんだ(笑)。普通のモーテルの倍するの、倍。足元見てるなって思ってさ。しょうがないけど。
 それで、このずっと右にサルーンがあるの。

八巻 なかなかサルーンの写真が出てこないですね(笑)。

■荒野のサルーン

佐藤 出てきた。出てきたよ、ほら。

八巻 あ、きた!

佐藤 1905年から営業と言ってたかな。ここにおっかないおばさんがいるんだよ。バーテンが。

■小屋

佐藤 僕の泊まったモーテルの目の前に小屋があるの。昔は人が住んでたんだろうね。モーテルの婆さんが気を利かしてくれて、夜になるとそこにぶら下がってる電球の電気をつけてくれるんだよ。

■夕方のゴールドフィールド

佐藤 夕方。日がだんだん落ちていって、いよいよサルーンタイムだ。

北條 しかし寂しいですねえ。

佐藤 寂しいでしょう? あんな所のモーテルに一人でさ、寂しいよ。

萩野 泊まり客はほかにいるんですか?

佐藤 いない。僕一人です。でも新しく作ったみたいで、中はすごくきれいだった。

■黄金の雲が溶ける空

佐藤 夕焼けですね。周りはずっとこういう風景。

■夕焼けとシルエット

佐藤 鉱山のやぐら、素掘りをしてた所。

■小さな明かり

佐藤 小屋に明かりがつきました。

■夜のサルーン

佐藤 ジャーン。サルーンですねえ、いいでしょ。これが荒野の中でポツーンとある。
 俺も最初、通り過ぎちゃう寸前だったんだよ。腹減ってコーヒーショップで昼飯食ったら、そこにこのサルーンの写真が貼ってあるわけ。「どこにあるんですか」って聞いたら、「ここよ」って。それじゃここに泊まらなくちゃって。

■いざ入店

佐藤 これが中です。
 ここのバーテンがおっかないおばさんでさ。「撮らせて」って言ったら、「人撮っちゃだめよ!」って言われて(笑)。だけどワイドで撮って、せめて端っこの方だけでもって。
 この店は長い歴史があるから、店を始めた時からいろんな歴史的な出来事を収めたものを飾る部屋もあった。

■壁に貼ってある紙

佐藤 すごいでしょ。来た人がみんな名刺だとか貼ってくんだ。やっぱりこのお店は有名なんだね。

■静かなピアノ

佐藤 ピアノ。昔はみんなこれを弾いてたんだ。

■凝った内装

佐藤 やってるでしょ、スロット。これ撮ったのは8時ぐらいかな。9時になったら閉めるからって言われてさ。お客さんが少ないから今日はもうおしまいって。

■いま何時?

八巻 ん?

北條 みんな5時になってる。

八巻 “I never drink”……酔ってないぞって? 面白い。

■貼り紙

佐藤 こうやって貼ってあるやつはいろんなのがあって面白いんだ。ゲームのチップはひとかたまりで15ドルなんだな、とか。

■サルーンといえばバーボン

佐藤 これは全部バーボン。スコッチなんか置いてないんだよ。
 サルーンへ入って、最初、スコッチの水割りを頼んだら、「なにい!」って言われてさ。「スコッチだあ? ここをどこだと思ってるんだ」って(笑)。「あ、すいません、バーボンですか」って。

■お酒のお供に

北條 “Step Aside Coffee.”いいですね。

■イマドキのスロットマシーン

北條 なんか、ゲームセンターみたいですね。

佐藤 面白くないよね。昔のハンドル付きのスロットは味があったんだけどな。

■バーテンのおばさん

佐藤 これがおっかないおばさん。ちょっと隠し撮りしたの(笑)。
 ここで俺バーボン3杯飲んだの。うまかったし、安いの。1杯4ドルだったからね。

■朝のサルーン

佐藤 朝。

今のアメリカではもうほかにないようなクラシックなガソリンスタンドがあった

■ハンバーガーの看板

佐藤 近くのダイナーで朝ご飯を食べて、そこにこんな看板があった。ディンキー・ダイナーっていって、ディンキーおばちゃんがやってた。

■今ではめずらしいガソリンスタンド

佐藤 これがまたクラシックなガソリンスタンドだったんだよ! でもこれはたぶん、学校が所有するスクールバス専用ガソリンスタンドとか、プライベートなものじゃないかと思ってる。このスタイルは古い。アメリカのどこを探してもない。

■リトルグレイがお出迎え

北條 “ALIEN CENTER?”

佐藤 エリア51はアメリカで一番UFOが見られる場所なんだ。ここは昔から新兵器の開発とかしてたから人が自由に出入りできなかった。だから余計に人は興味を持つわけ。特に最近アメリカの空軍が作った新しいジェット機なんてのは翼だけだったりするでしょ。あんなのが空飛んでたりすると、周りの人間がみんなUFOだと思うわけよ。だからこの辺は、特別にUFOがたくさん飛んでる場所だって、いっぱい見にくるんだ、いまだに。

■中身は雑貨屋

佐藤 センターっていったって、中は雑貨屋だからね(笑)。ガソリンスタンドと雑貨屋。

光の洪水、ラスベガスへ。5時間前とは別世界

■夜のない街

佐藤 さっきの場所からまた延々と走って、5時間ぐらい走って辿り着いたのが、ラスベガス。うわあ、と思ったよ。この写真はホテルに入ったあとにちょっと歩こうと思って。

■世界の都市がここに

佐藤 これはニューヨークね。エンパイアステートビル、自由の女神、ウォール街、右の方にブルックリンブリッジもある。つまりニューヨークが全部一つの遊び場になってるんだよ。この中にホテルがあり、ショッピングセンターがあり、カジノがあり……。しかもこれ、分かれてるように見えるけど全体で一つのビルになってる。中にものすごくいろんな遊び場があってね、子供も大人もみんな楽しく遊べる。
 これはニューヨークだけど、もうちょっと右の方に行くとパリもある。左へ行くと今度はサハラ。

■巨大なハイヒール

佐藤 これなんか片岡さん喜びそう。

八巻 そうですねえ。靴が好きですからね。

佐藤 ラスベガスの北の方にネオン博物館ていうものがある。ラスベガスで古くなって、もう使わなくなったネオンをそこに全部集めてある。有名なネオンとかはお客さんに見せてる。これがそのネオン博物館の看板です。

■COLOR TV by RCA

佐藤 懐かしいよね、これ。

■BLACK JACK MOTEL

八巻 ここも博物館なの?

佐藤 そうそう。

■今はもう輝かない

佐藤 こんな感じ。

■ラスベガスの看板

佐藤 こういうショーはあちこちでやってるね。大きな看板でモリモトっていう料理人の顔写真がある。スシ・アーティストなんて書いてあって、ディナーだけで何万もとられる。

■光の洪水

佐藤 なんか目が回るよね。砂漠の中にあるんだよ、こういう所が。現代のゴールドラッシュだ。

■ブレーキランプの洪水

佐藤 夜になると車が動きやしない。

■思い出のエビフライ

佐藤 “Howard Johnson”とか懐かしかった。昔よく泊まったな、とか。よくエビフライ食ったんだよ、俺。エビフライランチを。

■仮装する人

萩野 これはハロウィンかな?

佐藤 違うんですよ。これはみんな、ショーの切符を配ってるんです。これはスター・ウォーズ。

■謎のマシーン

萩野 マッサージか何かやってるんですか?

佐藤 なんか……気分がいいんじゃないですかね(笑)。

■マネキンのお尻

八巻 これも片岡さんが好きそうですね。

■一緒に記念撮影

北條 踊り子さん?

佐藤 いや、ウロウロしてこうやって写真撮らせてるんだよ。お金はとらないんです。ラスベガスの宣伝だから。盛り上げてるわけですよ。

■仕事上がり

佐藤 用が済んだらさっさとどこかへ行くんだ。腹減った、とか言ってね。

■路上パフォーマンス

佐藤 すごいよね。疲れちゃったよ、一晩歩いただけで。向こうにほら、乱射のあったビルがある。

■本家デニーズ

佐藤 “Denny’s.”どこで食っていいかわからないから、結局Denny’sで食ったんだけど、まずいったらないの(笑)。まず量の多さでまいっちゃうの、出てきて。

■ゾンビ

佐藤 これ、茂みを歩いてたらバケツが置いてあってさ。お金入っていたから、俺も1ドルぽんって入れたの。そしたら突然現れる(笑)。


佐藤 とりあえず前半は終わりです。

北條 いやあ、面白いです。ラスベガスの前と後が突然別世界ですね。でも同じ砂漠の中にあるという。

佐藤 次はカリフォルニアです。


2017年12月22日 12:00

片岡義男とも深い交流のある写真家・佐藤秀明が、30年ぶりにアメリカの地に訪れる。自身が“ロンサム・カウボーイ”となり、どこまでも続く乾いた土地を走りながら、かつての風景との違いを写真に収めていく。