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僕がデソートを停めた場所
 デソートという名の自動車が、かつてアメリカにあった。ここにあるのはそのデソートのおそらくは一九三九年あるいは一九四十年の雑誌に掲載された広告の、アートワークの部分だけだ。  どれもみな絵だから、誇張も美化も思いのままだ…
[エッセイ]  2017年12月4日 00:00
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古き佳きアメリカとはなにか
 ここにあるのは一九四一年のフォードの新車の広告だ。当時の雑誌に掲載されたものだが、この頃の雑誌広告の世界では、写真ではなく人が描いた絵が、グラフィックスの中心だった。カラー写真が広告に盛んに使われるようになったのは、戦…
[エッセイ]  2017年11月23日 00:00
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引っ越しという自己点検
 いろんな視点から自分を点検し考察しなおすための、たいへんな好機のひとつは引っ越しではないか。六年前におこなった引っ越しは、僕にとっては確実にそのとおりの機会だった。そのとき点検し考察しなおした自分というものは、それ以後…
[エッセイ]  2017年10月9日 00:00
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幼い頃の自分について語る(1)
1  ぼくは六歳から十四歳くらいまでの期間を、瀬戸内海に面したふたつの町で過ごしました。もうずいぶん以前のことです。どのくらい以前かというと、いまの瀬戸内海は、ある種の文脈では「死の海」などと呼ばれるほどにさまざまに汚染…
[エッセイ]  2017年9月23日 00:00
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ガールの時代の終わりかけ
 僕が新卒の新入社員として、会社というものをかすかに体験した時代は、いつだったのですかという質問に対しては、とりあえず年号を答えればいい。しかし年号は単なる数字だから、その頃を知らない人にとっては、年号などなんの意味も持…
[エッセイ]  2017年9月12日 00:00
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大統領によれば
 二〇〇一年九月十一日の午前九時すぎ、大統領はフロリダ州サラソータのエマ・ブッカー・エレメンタリー・スクールという学校にいた。生徒たちと向き合って椅子にすわっている大統領に、画面の左手からひとりの男性があらわれ、大統領へ…
[エッセイ]  2017年9月11日 00:00
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世界でいちばん怖い国
 カーヴした静かな道からかなり高くなったところに、いまの僕の仕事場の建物がある。道の側にあるいくつかの窓から、カーヴしているその道のいくつかの地点を、それぞれ見下ろすことが出来る。ふと窓の前に立ち、なにげなく道を見下ろす…
[エッセイ]  2017年8月31日 00:00
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水になった氷の悲しみ
 仕事の用件で編集者に電話をかけた。用件をめぐる話が終わると、 「ちょっと待ってね、替わります」  と彼は言い、数秒後、 「もしもし」  と、編集長が電話に出た。 「八時にはいつもの店にいるから、暇なら来なさい」  と、…
[エッセイ]  2017年8月30日 00:00
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家庭から遠かった男たち
 自分の家庭以外のところで食事をすること、たとえば街の軽食堂で昼食にせよ夕食にせよ、一回の食事としてなにかを食べることは、子供の頃の僕にとっては、家庭を中心とした日常のなかに成立しているルーティーンから、明らかに逸脱した…
[エッセイ]  2017年8月29日 00:00
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『妻』
戦後の日本はやがて崩壊する仕組みのなかにあった。 一九五三年の映画がそのことを静かに教えてくれる。  一九五三年(昭和二十八年)の四月に公開された『妻』は、林芙美子の『茶色の目』という小説を原作としている。例によって例の…
[エッセイ]  2017年8月28日 00:00
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『女が階段を上る時』
一九六〇年の日本でバーが全盛期を迎えた。 会社勤めの男たちがもっとも安心して寛げる場所だった。 『女が階段を上る時』という作品に関して、書きたいことはさほどない。このような映画を僕は苦手としている。つまらないから、という…
[エッセイ]  2017年8月27日 00:00
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近未来を書きませんか
 八月をあと十日残す、雨のような薄曇りのような日の午後、下北沢の喫茶店で二十代の編集者と会った。コーヒーと打ち合わせのひとときは気象の話から始まった。日本のとびきり暑い夏を体験しようとした彼がお盆休みに出かけた日本海側の…
[エッセイ]  2017年8月26日 00:00