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長期低迷経済の丸飲み
 二〇〇三年の四月から八月にかけて、日本における首相の支持率は五十パーセント前後を推移した。支持した人たちがあげた主な理由は、言葉の歯切れが良い、人柄が良さそう、金銭や女性に関して清潔そう、といったものだった。このような…
[エッセイ]  2016年2月1日 05:30
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お詫び申し上げる人
 走行中の大型トラックからタイアがはずれ、通行人を直撃して死亡事故となった、という出来事から事態は展開し、設計不良、時間切れで走行実験をしないままに製造、他にもおなじような事故がいくつもあった、そうしたことに関する情報の…
[エッセイ]  2016年1月30日 05:30
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服を見ればわかる
 引っ越しの話の続きを書く。二回に分けた引っ越しの最初の回〔「引っ越しという自己点検」(『自分と自分以外──戦後60年と今』〕では、ひとりの人が荷造りを手伝ってくれた。午後遅く、僕の衣服を段ボール箱に詰める作業を、その人…
[エッセイ]  2016年1月28日 05:30
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物価とはなにか
 物価が総体的に下がっている、という説は疑ってみる必要がある。なにかの統計にあらわれた数字だけを見ているとそう思える、というだけのことではないか。単体として価格が下がったものは確かにある。中国、東南アジア、南アメリカ、東…
[エッセイ]  2016年1月23日 05:30
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過去とはつながっていたほうがいい
 信濃町の慶應病院で生まれた僕は、何日かあとにそこから自宅へと連れ帰られた。自宅へはそのとき初めていったのだから、帰った、という言いかたは当てはまらないようにも思うが、そんなことはどうでもいいだろう。この自宅とその周辺で…
[エッセイ]  2016年1月17日 05:30
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めだかと空と貨物列車
 戦後すぐの十年ほどの期間を、幼児の段階を脱した子供として僕は過ごした。元気に遊んでいればそれでいい、という日々だった。瀬戸内の海と、それに向き合うおだやかな中国山脈の山裾が遊び場の中心だった。少しだけだが野もあった。爆…
[エッセイ]  2016年1月16日 06:00
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対話をしない人
 自分専用の固い枠の内側に守られ、そのかぎりにおいて安心して存在していることの出来る自分という人のありかたは、日本人のありかたの基本だと言っていい。ものごとの言いあらわしかたにかかわる日本語の基本能力が、主観という固い枠…
[エッセイ]  2016年1月9日 05:30
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正社員という絶滅危惧種
 正社員、という言葉を目にする機会が多いことに、ふと気がつく。人の口から聞くことも多い。街頭で取材中のTVカメラに向かって、「今年卒業ですけど、会社に入るなら正社員を希望しますね、やっぱり」などと、青年が語っている。ほん…
[エッセイ]  2016年1月8日 05:30
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いきづまりに立ち会う
 世界ぜんたいのいきづまりに立ち会えるとは思わなかった。いずれも世界最高の知性と呼ばれている各国の知識人たちの意見は、ほぼひとつのところにまとまる。どのようなものになるかはまったくわからないが、これまでとはまるで異なる、…
[エッセイ]  2016年1月6日 05:30
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僕の肩書は(お利口)としたい
 僕が13歳の頃、小田急線の車両はまだあずき色だった。少なくとも各駅停車の電車は、そうだった。13歳のある日、夕方近く、各駅停車の上りにひとりで乗って、僕は座席にすわっていた。経堂の友だちの家へいった帰りだった。  電車…
[エッセイ]  2015年12月31日 05:30
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日本語で生きるとは
「言語は実用の具であるとともに、人としての尊厳を支えるものである」  と書いた一枚の情報カードを、さきほどから僕は見ている。何年も前、本あるいは雑誌から、書きとめたものだ。僕自身の言葉ではない。ほかにもおなじようなカード…
[エッセイ]  2015年12月30日 05:30
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ただそれだけの十六年
 平成という元号の始まった瞬間を、多くの人がそうだったように、僕もTVニュースの画面で見た。このときのことはいまでもよく覚えている。それはたいへんに異様な光景だったからだ。おそらく官邸のどこか、いつも記者会見に使うような…
[エッセイ]  2015年12月29日 05:30