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一九四五年秋、民主主義の始まり
 仕事の現場で、珍しく、久しぶりに、同世代の男性と知り合った。落ち着いたスーツにネクタイ、やや白髪の紳士だ。見た目での年齢の見当は僕にはつけがたかったが、太平洋戦争に日本が大敗戦した年の四月に、小学校一 年生になったとい…
[エッセイ]  2016年3月6日 05:30
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カーメン・キャヴァレロ(3)
 一九六五年、昭和四十年、十二月、キャヴァレロは三度目の来日を果たした。それに先がけて、『カーメン・キャヴァレロと二人の世界』というLPが日本で発売された。昔のヒット歌謡曲三曲に、六〇年代なかばの日本でヒットしていた歌謡…
[エッセイ]  2016年3月1日 05:30
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カーメン・キャヴァレロ(1)
 一九七四年のたしか春だったと思う、僕はFM局で二時間のラジオ番組のホストのような役を、仕事の一部分として始めた。週に一度のこの番組、『気まぐれ飛行船』は、それから十三年間、続いた。その十三年間の前半にひとり、そして後半…
[エッセイ]  2016年2月28日 05:30
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町にまだレコード店があった頃(3)
 中古のレコードを骨董市のようなところで買う体験を一度だけしてみたい、と僕はかねてより思っていた。僕はコレクターではないし、掘り出し物との遭遇に情熱を注ぐタイプでもない。だから体験は一度でいい。川越の成田山別院というお寺…
[エッセイ]  2016年2月26日 05:30
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町にまだレコード店があった頃(2)
 海原千里・万里のLPも残っていた。名前にひかれるところもあるが、十二曲のうち八曲までがいわゆる大阪ものであることから、僕はこのLPを買ったのだ、といま僕は推測する。大阪ものへの興味は、フランク永井に触発された。「大阪ぐ…
[エッセイ]  2016年2月25日 05:30
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町にまだレコード店があった頃(1)
 町にまだレコード店があった頃、そしてそれらのレコード店でLPをしきりに買っていた頃、僕はときどき歌謡曲のLPも買った。かつて全音の『歌謡曲全集』で見つけて気に入ったいくつもの歌のタイトルを、僕は記憶していた。レコード店…
[エッセイ]  2016年2月24日 05:30
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交差点の青信号を待ちながら
交差点の横断歩道の信号は赤だった。青に変わるのを待つために僕は立ちどまった。歩くために脚を動かしていたことによって、僕の体内にはエネルギーが撹拌されていた。急に立ちどまったからそのエネルギーは行き場を失い、頭へと上がった…
[エッセイ]  2016年2月23日 05:30
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時間はここでもまっすぐに突っ走った
「今日、秋のよく晴れた日、僕ともうひとりの僕は、都内のJR駅で午前中に待ち合わせをし、ふたりで写真を撮って歩き、午後3時30分のいま、新宿のホテルのコーヒー・ショップで、アメリカン・クラブハウス・サンドイッチを食べてコー…
[エッセイ]  2016年2月17日 05:30
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この貧しい街の歌を聴いたかい
「きみが言っているジャパニーズ・スタイルというものが、わかってきたよ。僕が写真を撮るときには、風景にしろ人物にしろ風物にしろ、とにかくその場所の土地がらと言うか、そこに固有の物や人のありかた、感触、雰囲気、空気感などを狙…
[エッセイ]  2016年2月16日 05:30
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ジャパニーズ・スタイルを撮ってみましょう
「アメリカで刊行されていて、日本でも買えるのですが、絵葉書の本というものがあるのです。何枚かの絵葉書を一冊に綴じたもので、テーマ別になっています。マティスやピカソたちの有名な絵画からはじまって、子猫の写真からジェームズ・…
[エッセイ]  2016年2月15日 05:30
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まえがき|『影の外に出るー日本、アメリカ、戦後の分岐点』
タグで読む|『影の外に出るー日本、アメリカ、戦後の分岐点』公開済エッセイ一覧 *「まえがき」より  二〇〇三年の夏が終わろうとする頃から、主として報道をとおして、次のような言葉がこの僕の目や耳にも、しきりに届くようになっ…
[エッセイ]  2016年2月10日 05:30
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自然から遠く離れて
 明治時代までの日本人は自然とともにあった。あらゆるかたちの自然を信頼し、必要にして充分に畏れ、自然のなかに自分たちが見つけることの出来るさまざまな恵みに寄り添い、それらと静かに共生し、美しい緊張関係のなかにすべての人が…
[エッセイ]  2016年2月4日 05:30