フォカッチャは夕暮れに焼ける
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とても短い物語の中に、入れ子状態でいくつもの想像力が重なり合う物語。
               
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春の朝、朝食を終えた作家は、その日に書かねばならない短い小説について考えています。熱いコーヒーを飲み、窓の外に広がる空を見て、彼は他者と自分との対照の物語を思いつきます。そうして、彼が書いた「小品 1」は、想像上の女性との朝食の風景。しかも、その女性は小説の中でも想像上の人物なのです。さらに、コーヒーカップを手にした彼は、「小品 2」の着想を得ます。喫茶店に向かう彼女を、喫茶店のテーブルの向うに座る彼女を想像し、その彼女が消える物語。果たして、「小品 3」は必要なのか分からないまま、作家は更に想像するのです。
底本:『この冬の私はあの蜜柑だ』講談社 2015年11月

※価格記載のない作品は275円(税込)となります。