あの影を愛した
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「今日の私は聞き役です」
               
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長篇小説の中心にいるのは美佐子という女性。中心、というのは登場の頻度が最も高く、彼女の視点が基本のトーンになっている、ということで実は美佐子がこの小説の中では最も静かな存在である。彼女は多くの人と会い、ほとんどの場合、聞き手に回る。彼女ほど話しやすく、聡明で、気持ちの良い相手はいない。そうして人の話をすべて親身になって聞きながら彼女は時折、プールに入って泳ぎ、コーヒーを飲み、手紙を書く。光のあたったプールにできるのは自分の影。影はいつだって冷静で、その影を彼女は愛している。

価格:275円(税込)