VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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小説

どこからでも手紙は届く

2台のあいだを行き来しながら、彼女は脱出について語る

後ろには、母親と離婚した父親と、その新しい結婚相手。
前には、母親と、その年老いた父親。
2台並んで走るクルマのあいだを行き来するのは、
日本の大学に愛想を尽かし、外国に行こうとしている娘だ。
最初に後ろのクルマ、途中で止まって前のクルマ、そしてまた後ろのクルマ。
2台でまったく違う空気を感じながら、彼女が考えているのは「脱出」のことだ。
自分が今の世界から脱出するためには、愛する母親よりも、
まるでなじめないが、海外在住の父とそのパートナーの助けこそ…

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