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小説

永遠に失われた

すべてが終わること、写真を撮ること

17歳。人生で最も輝かしく、また不安定な年齢だ。誕生日を終えたばかりの彼女は、ふと家を出てバスに乗り、海岸にまで足を延ばす。焦燥感のような、鬱屈した気持ちのようなそんな壊れそうな気持ちの中に、突然、凧を持った少年が現れる。凧揚げを手伝う、という他愛もない時間を共に過ごしたことが彼女にとって決定的な時間になる。極端に観念的な理想と、あざやかな目の前の現実がピタリと一致する奇跡の年齢。しかしもはや、それは「永遠に失われた」。

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