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小説

肩をうしろから見る

あまりにも観念的であることを突き詰めて行くと、それはやがて身体的なものになるのかもしれない

理屈っぽい会話。それこそ、ある意味で
片岡義男の小説の真骨頂である。
「理屈っぽい」と表現すれば悪口だが、妥協を許さず、
男女が一つの観念をめぐって会話を持続させていけば
それはある地点から極めて身体的な実験となって現れる。
自分たちが望む状態を壊さないために
もう一つの、やはり自分たちが切望する行為を断念する、
断念し続ける男女の姿は端から見れば滑稽なものだが
その状態を生き切る切なさと強さが、繰り返すが片岡小説の真骨頂である。

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