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小説

嘘はやめよう

聡明な彼女たちは明言してから静かに去っていく。

なんと挑発的な。あるいは、なんと不愉快な。
おそらく、そのように読むことは十分に自然なことだろう。
身勝手な、イヤな、おまけに嘘つきの、男である。
おまけに反省もしない。同じことを何度も繰り返している。
ただこの男には、嘘をつかないものが1つだけあって、
それは自分の気持ちに対して、である。気持ちを偽ったまま関係を続ける、
ということが彼にはできない。そこが素直と言えば素直だが
別れ方は最悪である。やはり彼女たちは
去り際に頭からコーヒーを…

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