ムーンライト・セレナーデ
憎みきれないろくでなし
片岡義男のいくつかの小説が踏襲する独特のパターンというものがある。
ダメになった、嫌いになったわけでもないのに別れること。
女と男が、1台のクルマではなく、
それぞれのクルマに乗って2台で長い距離を移動すること。
この短編はその両方を満たしている。
男は、ナイトクラブのピアノ弾き。驚くほど上手いが、向上心がない。
めっぽうモテる。本当の意味で自分の足で立てる男でもある。
でも、女はくやしいだろう。男は自分で「ろくでなし」と言うのだから、
遠…
前の作品へ
次の作品へ