「東京を撮る」「短編小説の航路」新作公開!

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東京を撮る『本を読む人』、短編小説の航路『お砂糖とクリームはお使いになりますか』を公開しました。片岡義男.com だけで読めるサポータ限定公開の作品ですので、サポータ本棚よりご覧ください。

東京を撮る『本を読む人』
東京を撮る『本を読む人』

まるで書評のような今回の「東京を撮る」ですが、例えばルシア・ベルリンの短編集ひとつ取っても、まず、名前の表記についての話があって、日本版とは比べ物にならないくらい凝った造本のアメリカ版の「掃除婦のための手引書」の写真が提示されます。それは、「写真」によってしか見せられない、片岡義男の目なのです。文中、ルシア・バリーンが正しいだろうと書かれていて、しかしAmazonで検索しようとするとルシア・ベルリンでないと作品が表示されない、そういう現実を踏まえた上で、作家の耳の良さに言及する、画と音と文を見事に重ね合わせた芸に圧倒されつつ、私はうっかり、冒頭に取り上げられているロビー・ロバートソンの自伝を買ってしまいました。

短編小説の航路『お砂糖とクリームはお使いになりますか』
短編小説の航路『お砂糖とクリームはお使いになりますか』

今回の「短編小説の航路」は、情報の積み重ねによって、物語が組み上がっていく様が目の前で鮮やかに展開する一種のドキュメンタリーのようで、しかも出来上がった物語は、見事に二人の男女の関係性の面白さを描いて短編小説になっている、何だかマジックのような小説です。中盤、セミプロの作家である吉野夏彦による小説の下書きがシナリオ風に書かれているのも、端的な描写と会話を提示することで、小説とはどういうものかを教えてくれているようにも読めます。そう考えると、ラストの主人公矢吹由美の一言がいかに小説的であるかに気がつくのです。この手際がまた一流のマジシャンのようで、小説家はうかつに信用できないな、などと思ってしまうのです。


また、これまでサポータのみに公開していた「短編小説の航路」シリーズのうち、『寒い季節の恋愛小説』が販売開始となり、サポータでない方でもお求めいただけるようになりました。
短編小説の航路『寒い季節の恋愛小説』
短編小説の航路『寒い季節の恋愛小説』

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2020年6月15日 07:00|電子化計画