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新作書き下ろし「東京を撮る」25~29を公開しました

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サポータ向け書き下ろし「東京を撮る」シリーズの25から29までを公開しました。
読後にこれまでの「東京を撮る」とはちょっと違うぞ、景色じゃないよ、と。違和感を覚えられるかもしれませんが、その違和感の正体は次回更新の「東京を撮る」30で明かされますので、次回更新もお楽しみに!

片岡義男.com だけで読めるサポータ限定公開の作品ですので、サポータ本棚よりご覧ください。

これも三題噺か
東京を撮る25『これも三題噺か』

「これも三題噺か」を見て驚いたのは、最初の写真の中央に写っている腕時計です。ベトナム戦争時にアメリカ軍が兵士に支給したディスポーザブルウォッチのタイメックスによる復元版なのですが、最近、この時計にそっくりな別の時計が一部で話題になっているのです。SF作家ウィリアム・ギブスンがtwitterに、自らの作品「パターン・レコグニション」の主人公で目利きの女性ケイスに持たせた腕時計が、日本のダイソーで売っていたと書いたのです。それが、このタイメックスの時計と同じくディスポーザブルウォッチをコピーしたダイソーの「ミリウォッチ」。価格は何と550円。私はダイソーをハシゴして手に入れて悦にいっていたところに、この片岡義男の写真を見たのですから、それは驚くというものです。作家に愛されるデザインなのかも知れません。

バウンティでメンソレータムにヒット!
東京を撮る26『バウンティでメンソレータムにヒット!』

片岡義男のブツ撮りの特徴の一つに、小さな海外製品を沢山置いて撮るスタイルがあります。今回も、メンソレータムとヒットは複数置かれていて、ヒットなんて箱買いまでしています。それが、量産品の正しい姿なのかも知れないと、それを見る度に思います。そして、その大量のヒットを見ると、むしょうに欲しくなって買いに走ってしまうのです。これが1個をスタイリッシュに撮った写真では、そうはいきません。同様にバウンティも、中身がない、食べた後の写真だから、食べてみたいと思うのです。そういう「動き」があるモノを見つけて東京で買って撮る、それもまた街の写真なのだと思うのです。

やや絞ってあります
東京を撮る27『やや絞ってあります』

「やや絞ってあります」は、東京での日常生活を「行動の記録」として写真という形で表現したものではないかと思います。購入して半年経って着てみた服がキツかったからレイベルを見ると、買わないはずのサイズの表記があった、という行動、箱を開けると三角に開いたという写真は、その後でお茶を飲むという行為も含めて記録され、仙台駅の立体模型は、修正して撮影したものの、またも満足できるものではなかったという行動と結果と、更にまた撮り直すであろうという未来の行動までが、そこに写し出されています。それぞれに意志があり、失敗や驚きがあり、それが10分間の間の出来事であるというライブ感まで含めて写真が出来上がっているのです。

テキサス州シュガーランドから届いた
東京を撮る28『テキサス州シュガーランドから届いた』

海外からの郵便物は、昔からカッコよくて、今もやっぱりカッコいいと思ってしまいます。ラベルのレイアウトはもちろん、印字や色、スタンプのデザインまで、いちいちカッコいいのです。「まさに海外のもの」なのです。一方で、輪ゴムのパッケージも、和洋折衷の不思議なデザインが、中々に味わい深く、不思議なコピーも、今となっては懐かしくも新しく感じられます。チェコのセントロペンも、ヨーロッパの文房具の香り高い良いデザインですが、筆記具のジャンルでは、日本のメーカーも最近随分健闘しています。このペンを見て、私は、ゼブラのクリッカートという、ノック式サインペンを思いました。絶妙に渋い色が揃っているのも、ヨーロッパ文具に追い付いたような気がしています。モノの形は様々に想像を刺激してくれます。

豪徳寺・世田谷
東京を撮る29『豪徳寺・世田谷』

これまで続いた「東京を撮る」の原点にあたる場所と写真で構成されています。片岡義男ファンにはお馴染みの豪徳寺駅から山下駅までの途、そこから世田谷線で世田谷、三軒茶屋へと続く線路。それらを最初にデジタルカメラで撮影した12年前の記録が、今回の写真達なのです。まだ半分は残っている豪徳寺の風景、もはや消え去った世田谷の風景。これらの写真を見れば、このシリーズで片岡義男が試みていることが見えてきます。もはや消えてどこにもない風景は、取り返しのつかない最たるものと片岡義男は言います。アナログカメラからデジタル一眼レフへの変更は、その機能も機構も変わらないからスムーズです。それはカメラが消えてなくなるという話ではないからです。そのカメラで、東京を記録するのが、「東京を撮る」のモチーフ選びに繋がるのだと思うのです。

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2020年3月19日 10:30|片岡ニュース