882編公開中。 今を映す手鏡のように
1989年 の一覧
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2017.6.28
ふたりは一九六六年を思い出す
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 ビートルズが日本に来たとき、ぼくはいわゆる「社会人」となって仕事をしていた。フリーランスのライターとして、いろんな雑誌に文章を書くのが仕事だった。親しく仕事をしていたある雑誌の編集員から、ビートルズの記者会見にいかない…
2017.6.25
登場人物たちの住む部屋
縦書き
 ぼくは十五年以上にわたって、小説を書いてきた。書いている当人にとっては、真剣な遊びのようなものであるが、たとえば税金の申告のときには、作家とか文筆業として申告するので、小説を書くのは仕事でもあるようだ。  その小説の背…
2017.6.12
スミス・コロナとクールにさしむかい
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 ぼくの、現在のタイプライターが、これだ。スミス・コロナのXE6000。これがないと、ぼくの日常のなかのかなりの部分が、にっちもさっちもいかなくなる。  ぜんたいのデザイン、反応の速度、操作音、キーのタッチ、印字の美しさ…
2017.6.6
道路の小説を書きたい
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 ぼくは日本の地形と気候が好きだ。地形も気候も、ともに独特であり、このふたつが重なりあった日本は、興味がつきない。  この小さな列島は、亜寒帯から亜熱帯にまで、わざわざまたがるのを意図したかのように、細長い。複雑な海岸線…
2017.6.2
渋谷の横町を、植草さんのとおりに歩く
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 植草(うえくさ)さんの全集『植草甚一スクラップブック』には、毎回、月報がついていた。その月報には、一九七六年一月一日から書きはじめた植草さんの日記が、すこしずつ、のせてあった。 「渋谷(しぶや)の横町の石井(いしい)さ…
2017.5.12
ウディ・アレンについて、僕のコメント
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『ウオッカの広告』『ヴェーガス』『二度めの結婚』『誘拐されて』『不幸せな子供の頃』『エッグス・ベネディクト』『経口避妊』『失われた世代』というようなタイトルの作品を、知ってますか。ウディ・アレンの作品です。かなり笑えます…
2017.5.6
生まれてはじめての旅
縦書き
 ぼくは東京生まれだが、子供の頃の十年ほどを、山口県の岩国(いわくに)、そして広島県の呉(くれ)で、過ごした体験を持っている。  目のまえには、あの独特な瀬戸内海、そしてすぐうしろには、おだやかな中国山脈があり、気候は温…
2017.5.4
小さな旅、愉快な思い出
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 朝の八時からいっしょに続けてきた仕事を、午後の二時に終わり、ぼくはその仕事相手の女性とふたりで、建物の外に出てきたのです。きれいに晴れた。五月の午後でした。ゆっくりコーヒーを飲もう、ということになり、どこの店がいいか考…
2016.3.4
彼女の部屋の、ジャズのLP
 ぼくが彼女にはじめて会ったとき、ぼくはまだ少年であり、彼女は五歳年上の大人の女性だった。すっきりと成熟をとげた、いい雰囲気をたたえた、優しい、そして芯のある女性だった。  彼女と知り合ったのは、当時のぼくの自宅から歩い…
2016.3.2
女性たちがニューヨークへ消えていく
 ぼくの身辺から、女性の友人たちが次々に消えていく。十七年まえから現在にいたるまでのあいだに、七人の女性の友人たちが、いなくなった。七人ともすべて、東京を捨ててニューヨークへいってしまったのだ。  十七年まえに、ぼくの女…
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