972編公開中。 今を映す手鏡のように
1950年代 の一覧
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2020.5.21
まっ赤なトマトの陽焼けした肩
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 トマトは何色ですか、といま人に訊けば、その色は赤です、という答えが返ってくるだろう。年齢が下がるほど、トマトの色はその赤い色を濃くするのではないか。子供たちに言わせれば、トマトの色はこれ以上ではあり得ないほどの、まっ赤…
2020.4.15
1957年のラブ・ミー・テンダー
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 下北沢のあの映画館の名称をついに思い出した。下北沢映画劇場だ。かつての下北沢駅の北口を出て道幅の狭い商店街に入り、最初の十文字を左へ曲がるとすぐ左側に、その映画館はあった。この映画館がここにあった頃の下北沢には、映画館…
2017.8.28
『妻』
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戦後の日本はやがて崩壊する仕組みのなかにあった。 一九五三年の映画がそのことを静かに教えてくれる。  一九五三年(昭和二十八年)の四月に公開された『妻』は、林芙美子の『茶色の目』という小説を原作としている。例によって例の…
2017.8.24
川があり、橋があり、ホテルもあった
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 僕が十歳だった年、夏の終わりのある日の小さな出来事を、いまでも覚えている。僕宛に葉書が一枚、届いたのだ。現在のよりもひとまわりは小さいサイズの、当時の日本の官製葉書だった。宛名は日本語で書いてあったが、文面は英語だった…
2017.8.21
ご飯のおかずが、ご飯
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「こうしておいしい料理を次々に食べて、ワインの酔いもほどよくまわってくると、頭のずっと奥の片隅に、気がつくとふと立ち上がっているのは、学生時代の記憶なんですよ。そういう年齢にさしかかってるのかなとも思いますけど、学生時代…
2017.8.18
ワシントン・ハイツの追憶
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 一九五〇年代なかばから持っているジャズのLPを必要があって見直していたら、ラルフ・フラナガンのLPジャケットのなかに、一枚の写真が入っているのを見つけた。週刊誌ほどの大きさの白黒のプリントで、ワシントン・ハイツのおよそ…
2017.5.9
アイスキャンディ
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 アイスキャンディを最初に食べたのはいつだったか。日本という失敗国家が冒した完膚なきまでの大敗戦という失敗の、あの夏ではなかったはずだ。あの夏はあのときすでに峠を越えていたし、アイスキャンディどころではなかったからだ。次…
2017.5.8
マヨネーズが変わった日
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 ナンシー梅木は本名を梅木美代志といい、一九二九年に小樽で生まれた人だ。占領米軍とのつながりを持った人たちが、戦後の彼女の身辺には何人もいたようだ。彼らを経由してアメリカ兵たちと親しくなり、そこからさらにアメリカ文化へと…
2017.4.9
一九五七年の春をさまよう
 知らない町を歩いていたら古書店があった。入ってみた。古書と呼び得る本と最近の本とが、半半にある店だった。よく探せば買いたい本は何冊かあるだろう。壁に沿った棚の前には平台があり、雑誌が積み上げられてならんでいた。そのいち…
2017.3.27
あのトースターの謎を解く
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 一九五十年代のなかばに自宅で使っていたトースターを、解けないままに残ったひとつの小さな謎として、いま僕は思い出している。アメリカ製であったことは間違いない。確かサンビームという会社のものだったと思う。本体の両端に底と一…
2016.10.14
『路上にて』を買いそこなう
 日本語に翻訳されたときの題名を『路上にて』という、ジャック・ケルアクの『オン・ザ・ロード』を一九六二年、大学三年生のときに読んだ。そのときのペイパーバックをいまでも持っている。シグネットというペイパーバック叢書からの、…
2016.9.28
アメリカはここからがもっとも面白い
 かつてのアメリカがいかに途方もなく桁はずれに豊かであったかを体感するひとつの有効な方法は、たとえば一九四〇年代、そして一九五〇年代のアメリカの、一般的な家庭雑誌に掲載されていた広告を観察することだ。  第二次大戦に勝っ…
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