981編公開中。 今を映す手鏡のように
高速道路 の一覧
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2020.4.21
あの道がそう言った
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白く輝く雲へ  まだ梅雨だがその日は、梅雨明けの初日のように、素晴らしい晴天だった。小田急線の上りひと駅の下北沢で井の頭線に乗り換えて渋谷へ。朝のラッシュアワーの地下鉄銀座線浅草行きのプラットフォームでは、人々が三列にな…
2018.6.13
消えた東京はゼニ・カネのために消えた
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〈書評〉富岡畦草、富岡三智子、鵜澤碧美著『変貌する都市の記録』  写真に撮られた場所はまだあるだろう。しかしその場所にかつてあった建物、建造物、人、自動車など、もはやいっさい、どこにもない。どこへ消えたのか。1950年代…
2017.6.29
彼女が雨を見る態度
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 1   秋の雨の頃、仕事の帰りに彼女は京都に一泊した。京都は雨だった。その雨の京都から、彼女は、親しい友人に宛てて、絵葉書を出した。絵葉書に彼女は次のように書いた。 『雨の京都で蛇の目を買いました。さっそく、それをさし…
2017.6.6
道路の小説を書きたい
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 ぼくは日本の地形と気候が好きだ。地形も気候も、ともに独特であり、このふたつが重なりあった日本は、興味がつきない。  この小さな列島は、亜寒帯から亜熱帯にまで、わざわざまたがるのを意図したかのように、細長い。複雑な海岸線…
2017.5.21
『彼のオートバイ、彼女の島』
縦書き
 これが文庫本になったのは一九八〇年のことだ。それ以前に単行本で出ていた時期が、三年はあったのではないか。そしてそれは『野性時代』に連載したものだ。とすると、書いたのは一九七五、六年だったということになる。単行本で出たと…
2016.9.7
信号待ち
 夏の残り香の最後の部分が、今夜のうちはまだある。しかし、明日になれば、もうどこにも見あたらないのではないか。と、ふと思ったりする、そんな夜だ。  夜は更けていた。午前二時を、すぎている。夜の底の、いちばん低い部分だ。 …
2016.9.2
彼の後輪が滑った──7(夏)
 その高速国道の、そのあたりの中央分離帯は、丈が低い。オートバイだと、分離帯を 越えて反対側の車線をのぞきこむようにして走ることが出来る。  右への大きなカーヴを、ぼくは時速百キロで通過していきつつあった。反対側の車線の…
2016.7.26
彼の後輪が滑った──4(夏)
 彼女は、オートバイでひとり、旅に出る。一日に走る距離は、それまでの経験から判断してきめる。そのときの天候によっても、季節によっても、あるいは、自分の気持ちによっても、一日に走る距離は、微妙にちがってくる。  充分に走り…
2016.6.26
トリップ・カウンター・ブルースだってよ
1  エンジンをかけるため、路面が硬くて平坦なところへ、バイクを押し出していく。サイドスタンドをあげたとたんに、バイクの重さを全身に感じる。すさまじい重さだ。  かすかなダウングレードを、うしろむきに降りていく。生ゴムの…
2016.6.3
ハイウエイのかたわらに立つ、巨大なドーナツや恐竜
 世界最大のマカロニ、と呼ばれている建造物のことを、アメリカの友人から聞かされたのを僕はいま思い出している。  どこだったか場所は忘れたが、ハイウエイ沿いのガス・ステーションのすぐかたわらに、その世界最大のマカロニは、ご…
2016.4.20
道路への関心と小説
『佐多への道』という本を何年かまえに僕は英語で読んだ。アラン・ブースというイギリスの人が、北海道の宗谷岬から九州の佐多岬まで、出来るだけ都市化されていない田舎の部分を選んで、ひとりで歩きとおした紀行文だ。歩くということ、…
2016.3.16
深夜の地獄めぐり
 深夜の東京の、主として高速道路をオートバイで走りまわることを、彼は地獄めぐりと呼んでいる。なぜ、深夜に、地獄をめぐるのか。  彼の言い草は、こうだった。 「夜中なら道路に車がつかえてないから、事故のとき救急車も早く来て…
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