884編公開中。 今を映す手鏡のように
の一覧
2017.7.3
ドライ・マティニが口をきく
縦書き
 仕事をおえて、ビルから外へ出てくる。  まだ、明るい。  夏は、これだから、いい。  仕事を終ってもまだ明るいという、夏の特性を、しっかり楽しまなくてはいけない、と自分自身に言って聞かせよう。  夏の午後おそくから、夕…
2017.6.1
テキーラの陽が昇る
縦書き
 会議は二時間、続いた。十五分の休憩があり、会議は再開された。それから一時間が経過していた。さらに一時間は、続くはずだ。この会議をとりしきっている男性は、会議のためにこのような時間のとりかたをするのが、好みだ。休憩をあい…
2017.5.11
鮎並の句を詠む
縦書き
 鮎並と書いて、あいなめ、と読むらしい。当て字だろう。電車のなかに吊ってあった清酒の広告で、初めて知った。誰が見ても鮎並にしか見えない魚が一尾描いてあり、俳句がひとつ添えてあった。鮎並の皮の旨みのじっんわりと。こういう俳…
2016.6.9
雨の夜のドライ・ジン
 ドライ・ジンを飲んだのがいけなかった。しかも、夜中の二時だ。こんな時間まで起きていることは、ぼくの日常生活のなかには、あまりない。そして、夜中の二時に、室温の、したがってほんのりと生あたたかい感じのするドライ・ジンをス…
2016.5.5
菖蒲湯そして乾杯
 端午の節句には京都にいた。なんの用件も目的もないまま、ただでかけてみたくなってやってきた京都だった。イノダでコーヒーを飲めばそれで充分だというような、一泊するだけの小旅行だ。  イノダでは、たしかにコーヒーを飲んだ。三…