882編公開中。 今を映す手鏡のように
道具 の一覧
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2017.7.22
沢水を満たし、小さな花をひとつ浮かべる
縦書き
 アーリー・ウインターズ社で買った透明なビニールの洗面器だ。折りたたんで平たくなっているのを広げ、そこへ水を満たす。外へ広がる水の重さによって、底は平らになり、壁は垂直に立つ。ぜんたいが透明だから、沢水をくんできて満たす…
2017.6.27
日常からひょいと離れてテントのなかへ
縦書き
 正面がAフレームになっている、フロント・エントリーのふたり用のテントだ。適当な草地に張ったところを写真に撮るのも普通すぎるので、収納用の袋におさまっている様子を、写真に撮ってみた。テントの全長は8フィート6インチ、そし…
2017.6.17
蛇の目をさして歩ける道はないか
縦書き
 蛇の目が、三本。どれもみな、いくたびに、京都で買った。買ったまま、使わない。ふさわしいチャンスがない。手に持った感じは、とてもいい。匂いもいい。開いていき、開ききってストッパーがかかるときの音も、いいものだ。そして、開…
2017.6.12
スミス・コロナとクールにさしむかい
縦書き
 ぼくの、現在のタイプライターが、これだ。スミス・コロナのXE6000。これがないと、ぼくの日常のなかのかなりの部分が、にっちもさっちもいかなくなる。  ぜんたいのデザイン、反応の速度、操作音、キーのタッチ、印字の美しさ…
2017.4.3
置きかたもセンスのうち、とぼくは思う
 ぱっと見たときの第一印象。デザイン。質感。持ったときの感じ。どこかに置いたときの雰囲気。黒とグリーンの色のとりあわせかた。秒針の色。文字盤のデザイン。ふたを閉じたときの様子。開いていくときの感触。アラームの音。GMTを…
2017.2.6
バンダナは基本的本質そのもの、そして多用途の善
 バンダナという言葉は、ヒンズー語のバンドゥーヌからきているのだそうだ。バンドゥーヌは、木綿の生地を染めるときの、その染めかたを意味する言葉だ。  昔のカウボーイたちは、生地屋でバンダナを買っていた。巻いてある安い木綿の…
2017.1.15
自分だけの火で一杯の紅茶をいれてみる
 エスビットのポケット・クッカーは、ごく単純な構造の携帯用小型のコンロだ。熱くなっても危険や不都合のない平らなところに開いて置けば、それでコンロの出来あがりだ。上に乗せる器の底の面積に応じて、開く角度は調節出来る。  こ…
2017.1.11
灰皿のなかに貿易風が入りこむ
 ハワイのある有名なホテルの、灰皿だ。ぼくは煙草を吸わないが、いくつかあるデスクのどれかの上に、いつもこの灰皿はのっている。この灰皿もまた、これ以上どこにも手の加えようのない、完全な完成品のひとつだ。写真で見ると大きいも…
2016.11.5
[ミードのライティング・タブレット]
 86-87の見開きページ〔本ページトップ画像〕の写真にあるのは、ミードのライティング・タブレットだ。ライティング・ブロックやライティング・パッドは、ライティング・タブレットとも言う。僕にとって紙の上に真面目に言葉を書く…
2016.11.4
消すことによって生まれる新たな可能性
 書き間違えた文字や図形を消し去る道具が消しゴムである、という考えかたは消極のきわみであり、それゆえに、不毛をもきわめている。そしてその不毛は経過していく時間のなかでさまざまに連鎖し、遠からずや人生の不幸の始まりを作る。…
2016.10.21
電気なし、ロウソクだけ。家賃一年前払い
 外房の海から歩いて十五分ほどのところにある、すでに人の住まなくなった大きな農家に、ぼくはかつてひとりで住んでいたことがある。かやぶき屋根の、古風な農家の典型のような建物だった。ただ同然の安い料金を一年分、前払いし、その…
2016.9.26
これ以上なにも言うことはない
 ロング・ノーズ・プライアー。ニッパー。そして、カッター部分のついたペンチ。この三点だ。セットではなく、ぼくはひとつずつ手に入れた。西ドイツ製だ。高級なものではないと思うが、出来ばえは美しい。どれもみな、たいへんな働き者…
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