884編公開中。 今を映す手鏡のように
菓子 の一覧
2017.7.7
カルピスについて思う
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 少なくとも僕の体験のなかでは、カルピスは女性と深く結びついている。カルピスは僕の幼年期から青年期にかけて、女性の一部分であった、という言いかたをしてもいい。カルピスに性別があるなら、それは女性ではないか。  子供の僕が…
2017.6.11
思い出のバブル・ガム
縦書き
 アメリカの駄菓子の記憶としていまも僕のなかでもっとも鮮明なのは、リコリスの味と香りだ。リコリスは甘草(かんそう)と日本語では呼ばれている。ルート・ビアをひと口飲んだとき、うへっ、薬臭い、と顔をしかめる人が日本には多いが…
2017.6.10
森永ミルク・キャラメルの箱
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 掌サイズ、という言葉がある。片方の掌に収まる、あるいは片方の掌だけで楽に持てる、というサイズを総称して、掌サイズと呼んでいる。日本におけるこの掌サイズの、じつになんとも言いようがないほどに素晴らしい、しかも普遍に到達し…
2017.5.9
アイスキャンディ
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 アイスキャンディを最初に食べたのはいつだったか。日本という失敗国家が冒した完膚なきまでの大敗戦という失敗の、あの夏ではなかったはずだ。あの夏はあのときすでに峠を越えていたし、アイスキャンディどころではなかったからだ。次…
2016.9.6
僕はチェリーを忘れてた
縦書き
 東京でいちばんおいしいピッツアの店、と僕がいつも言っているピッツアの店で、何とおりかの前菜のあと、直径三十センチのピッツアを四人がかりで四枚、たいらげた。デザートにはエスプレッソ、そしてアイスクリームにチェリー・シロッ…
2016.5.9
アイスクリームには謎がある
 アイスクリームについて思うと、その思いは過去へと向かっていく。僕がまだ充分に幼くて可愛い坊やだった頃、僕はいちばん最初のアイスクリームを食べたはずで、それについての記憶はいまも残っている。幼い体の口腔感覚がとらえた、ア…