882編公開中。 今を映す手鏡のように
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2017.10.13
股関節の柔軟な歩きかた
縦書き
 秋のウイーク・デーの夜。早すぎもおそすぎもしない、とてもいい時間に、ぼくは彼女とふたりで散歩をしていた。彼女の、ほどよい高さのきれいなヒールが、歩道に心地よい音をたてていた。いっしょに散歩する女性としてぼくがまっさきに…
2017.9.30
三つのパラグラフのなかの彼女
縦書き
 ひさしぶりに彼女に会った。夏のまっさかりの日に会って以来だから、ひさしぶりなのだ。いまは、すでに秋が深い。落葉樹の葉は光合成を終わりつつあり、日没の太陽の光を、高くたなびいている絹雲が静かに照りかえしている。  真夏に…
2017.9.27
ブラックベリーとスニーカーの靴ひも
縦書き
 東京からひとりで自動車を走らせて三時間、彼女は高原のホテルに着いた。  よく晴れた明るい秋の日の午後のなかに、静かに、ゆっくりと、夕暮れが溶けこみはじめる時間だった。荷物を持ってホテルに入り、チェック・インした。ベルボ…
2017.5.20
『ときには星の下で眠る』
縦書き
 一九八〇年までさかのぼると、『ときには星の下で眠る』という、中編よりやや分量の多い小説がある。高校の同級生だった親しいオートバイ仲間が、ある年の秋、高原に集まって来て再会する、という単純なストーリーだということは記憶し…
2016.12.14
彼の後輪が滑った──13(秋〜冬)
 高架の高速道路の上は、不思議な世界だ。都会の内部に密集している建物のあいだを、地面でもなければ上空でもない、その中間の微妙な高さにおいて、ほとんどなんの理由もなしに起伏し、蛇行している。そして、強引に前方へとのびていく…
2016.11.28
コパトーンの香りはあらゆる夏のすべての思い出
 コパトーンはセンチメンタルだ。夏の陽焼けは、秋の風とともに消えていく。容器のなかにおそらく半分はまだ残っているコパトーンは、メディシン・キャビネットのいちばん端に置かれて、自分の季節が過ぎ去るのを見守る。キャップにきざ…
2016.10.30
アップル・サイダーと彼女
 アメリカの農業地帯に入りこんでいることは、数日まえからわかっていた。夜のモーテルで見るテレビに、たとえば肥料のコマーシャルが多くなっていたし、昼間、ハイウェイを走るときには、農作業用のトラクターやコンバインをつんだトラ…
2016.10.23
表現された秋、という荒野を歩いてみた
 いつから秋なのだろうか。秋はいつから、始まるのか。  俳句歳時記を、僕は見てみた。  「立秋(多くは8月8日)から立冬(多くは11月8日)の前日までが秋になる」  とあっさり書いてあった。  ついでに俳句歳時記のあちら…
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