883編公開中。 今を映す手鏡のように
の一覧
2017.9.29
いつ見ても千万両の、いい猫だ
縦書き
 ぼくにとってたいへんに大事な、そしてたいへんに好きな、とある町の茶碗屋さんのような店でぼくが買った招き猫だ。もう二十年ちかく、この猫はぼくといっしょにいる。いつ見ても千万両の、いい猫だ。名前はまだない。 底本:『彼らと…
2017.9.13
猫の寝る場所
縦書き
 猫の多江子は、突然、目を覚ました。いつもの癖だ。気持ちよく眠っているその眠りのちょうどまんなかあたりで、多江子は、いつも突然、目を覚ます。夢を見ていて、その夢のまんなかで目を覚ますこともあるが、いまはなにも夢を見ていな…
2017.2.22
ガーフィールドは、ただ単に猫であるだけでは、満足しない
 壁にとりつけたドア・ストップのそばに所在なげにすわっている猫は、ドアがいきなり勢いよく開いたときには、ドア・ストップとともに自らもドア・ストップになってしまう可能性が大きい。  ドアのうえに登ってそこにすわっている猫は…
2016.7.24
猫のことを書くなら
 人から聞いた猫の話を書いておこう。それほど遠くはない過去の、ある日ある時、その人は仕事で訪れた町のはずれを、平日の午後、ひとりで歩いていた。FAXで受信した略地図を、その人は持っていた。略地図のなかに記された道順どおり…
2016.2.22
猫が階段で寝ている
 いつも乗り降りしている私鉄の駅から現在の僕の自宅まで、やや急ぎ足で歩いて三分ほどだ。その三分間の道のりの大部分は、階段によって占められている。段数は百二十段ほどある。僕の自宅があるあたりは高台になっていて、その下の駅や…