882編公開中。 今を映す手鏡のように
物語 の一覧
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2017.5.22
『スローなブギにしてくれ』
縦書き
 角川文庫から出た僕の作品の、最初から数えて四作めに、『スローなブギにしてくれ』というのがある。一九七九年に文庫で出た。それ以前に『野性時代』に書いた五つの短編が収録してある。表題作はそのうちのひとつだ。まず最初にこれも…
2017.4.15
作家とはなにか
縦書き
 日本の書き手によって小説が書かれるとき、ごく一般的に言って、舞台は日本そして時はいまとなる。過去を舞台にした物語でも、書き手はいまの日本の人なのだから視点はすべて現在にあり、したがって過去のことを題材にしてはいても、語…
2016.12.4
ノートブックに描いた風景画|9〜13
 9  精悍な印象を全身にたたえた馬だ。だが、表情はきわめておだやかだ。悟りきった果てに到達したひとつの境地のような顔で、コンクリートの歩道を静かに歩いた。  馬にまたがっているのは、ナヴァホの若い女性だった。身につけて…
2016.12.3
ノートブックに描いた風景画|5〜8
 5  セヴン・アップとドクタ・ペパーの、横長の看板が、上下にならべて、白い壁に釘で打ちつけてあった。  その二枚の看板のすぐ右わきに、彼は立っていた。背丈は五フィート九インチくらいだろうか。へア・グリースを使ってものの…
2016.12.2
ノートブックに描いた風景画|1〜4
 1  三枚かさねた大きなパンケーキをバターとメイプル・シロップの洪水に沈め、彼はナイフとフォークを手術器具のように操り、秩序正しい正統的な食べ方でそれを食べた。  彼の屈強な下半身は、はき古したブルー・ジーンズがつつん…
2016.11.27
彼女から届く絵葉書
 彼女と知り合って三か月ほどして、彼女からの最初の絵葉書が私のところに届いた。国内の旅先からであることが消印からわかった。フラミンゴの絵葉書だった。フラミンゴのひな鳥が、親鳥から口うつしで餌をもらっているところが、縦位置…
2016.7.29
五つの夏の物語|1
1  常夏、という種類の夏がある。一年をとおして季節はひとつ、そしてそれは夏。毎日、目が覚めるたびに、自分は夏のなかにいる。一年じゅう、そのような日が続く。雨が降っていて気温の低い日、あるいはハリケーンが接近しているとき…
2016.5.17
旅と小説はどのように関係し合うのか
 小説を書き始めてから三十数年が経過している。小説と呼び得るものを何編くらい書いたか、見当がつかないほどたくさん書いた、と自分では思っているが、仔細に検討するならじつはさほどの数ではないのかもしれない、という気もする。三…
2016.5.14
彼女たちに名前をつけるとき
 小説を書く僕にとって気になるのは、登場人物たちに名前をつけることだ。名前を考えずに書きはじめると、名前を特定しなければならない状況が、遅かれ早かれかならずやってくる。そうだ、名前をつけなくてはいけない、と思うと同時に、…
2015.12.1
ひとりでアイディアをつつきまわす午後
 冬のはじめ、ある日の午後、僕はひとりで道を歩いていた。歩きながら、僕はいろんなことを考えた。  アメリカン・トップ40は絶対に小説にすることが出来るはずだ、というようなこともその僕は考えた。ナンバー40からナンバー1ま…
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