884編公開中。 今を映す手鏡のように
片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』 の一覧
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2017.5.31
荒野の風はサンドペーパー
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 早朝から、かんかん照りだった。  ついになにかが巨大に狂ったのではないかと誰もが思うような、まっ青な空から、地面のあらゆる部分にむけて、強烈な陽ざしがまっすぐに射しこまれつづけた。  ぼくがオートバイで宿を出たとき、ま…
2017.5.30
彼の後輪が滑った──(9)
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 峠道を登りつくし、道路が平坦になったところで、ぼくは転倒した。見ている人は、いなかった。ほかにオートバイも自動車も、いなかった。ぼくは、いつも、ひとりで転倒する。記憶しているほとんどの場合、転倒するのはひとりのときだ。…
2017.5.26
ほろりと泣いて正解
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 もう何年かまえのことになるが、季節はちょうどいまごろだった。  よく晴れた明るい日の夕方、ぼくは、当時ひとりで住んでいた家の玄関ポーチのデッキ・チェアにすわり、楽譜を読んでいた。アメリカの、一九三〇年代、四〇年代に流行…
2017.5.22
『スローなブギにしてくれ』
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 角川文庫から出た僕の作品の、最初から数えて四作めに、『スローなブギにしてくれ』というのがある。一九七九年に文庫で出た。それ以前に『野性時代』に書いた五つの短編が収録してある。表題作はそのうちのひとつだ。まず最初にこれも…
2017.5.21
『彼のオートバイ、彼女の島』
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 これが文庫本になったのは一九八〇年のことだ。それ以前に単行本で出ていた時期が、三年はあったのではないか。そしてそれは『野性時代』に連載したものだ。とすると、書いたのは一九七五、六年だったということになる。単行本で出たと…
2017.5.20
『ときには星の下で眠る』
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 一九八〇年までさかのぼると、『ときには星の下で眠る』という、中編よりやや分量の多い小説がある。高校の同級生だった親しいオートバイ仲間が、ある年の秋、高原に集まって来て再会する、という単純なストーリーだということは記憶し…
2017.5.19
『幸せは白いTシャツ』
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 一九九四年の夏に出た『狙撃者がいる』が、いまのところ僕にとってもっとも新しい角川文庫だ。そこから『湾岸道路』までさかのぼるあいだに、五十七冊の文庫がならんでいる。そして『湾岸道路』からいちばん最初の角川文庫である、『ぼ…
2017.5.18
『メイン・テーマ3』
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『桔梗が咲いた』よりも前、一九八六年の一月に、『メイン・テーマ3』という小説が、おなじく書き下ろしとして角川文庫から刊行されている。このなかにオートバイに乗った人が出ているはずだ、と思って僕はページをくっていく。『メイン…
2017.5.17
『桔梗が咲いた』
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 オートバイを探して自分の書いた角川文庫をさらに過去に向けてさかのぼると、一九八六年の十一月に刊行された書き下ろしとして、『桔梗が咲いた』という中編を僕は見つける。どんなストーリーだったかいっさい思い出せないが、ここには…
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