972編公開中。 今を映す手鏡のように
瀬戸内海 の一覧
2020.6.12
読売新聞、金曜日夕刊
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1  義  自分の名前にある義という字について。男のこが生まれたらヨシオにしよう、と父親は考えていたが、彼は漢字のまったく書けない日系二世で、音声としてのヨシオを好いていただけだ。漢字をみつくろったのは母親だ。ヨシオのヨ…
2017.9.25
幼い頃の自分について語る(3)
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《(2)からのつづき》 3  小学校の六年生だった頃の自分について書くのは、これで三回めです。材料がなにもないけれど、ないとは言わないでなにか思い出してみようと思いつつ、ワード・プロセサーのキーをまるでつまびくように叩き…
2017.9.24
幼い頃の自分について語る(2)
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《(1)からのつづき》 2  ぼくは、小学校六年生の頃には、すでに専門家になっていました。なにの専門家かというと、出来るだけ学校へいかずにすませる専門家です。小学校六年生の頃には、ぼくは一年のうち三十日くらいしか学校へい…
2017.9.23
幼い頃の自分について語る(1)
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1  ぼくは六歳から十四歳くらいまでの期間を、瀬戸内海に面したふたつの町で過ごしました。もうずいぶん以前のことです。どのくらい以前かというと、いまの瀬戸内海は、ある種の文脈では「死の海」などと呼ばれるほどにさまざまに汚染…
2016.2.5
少年食物誌
 瀬戸内海に面した小さな港から内陸にむかって、一本の川がのびていた。港から入江に入りこみ、山陽本線の鉄橋をくぐると、その川の両側は石垣のスロープになり、スロープの上には漁村とも農村ともつかない不思議なたたずまいで、瀬戸内…
2015.12.19
おそすぎたラブレター
 古い教科書の表紙をあけると、最初の白いページに、先生のお名前が鉛筆で書いてあります。黄色く変色してしまったページに、当時のぼくの筆跡で、ミス・キャシー・ブルックス、とだけ、力をこめて書いてあります。順おくりに何回もおさ…