972編公開中。 今を映す手鏡のように
海岸 の一覧
2017.7.6
食卓には花を!
縦書き
 アパートメントの部屋を、彼女は出てきた。彼女の部屋は三階にある。小ぶりなアパートメントだが、ユニットごとに複雑に組み合わせたかたちになっていて、このかたちの人工的なところが彼女は気に入っている。そして、住み心地は、とて…
2016.8.23
あの夏の女たち
縦書き
 まずはじめに、彼女の頭が見えた。海の水に濡れた髪が、うなじにはりついていた。すんなりとした首と、ひきしまって無駄のない肩が見えた。それから、胸の三角形の小さな布きれと細いひもの組み合わせでできているビキニ・トップの胸が…
2016.8.19
ステーション・ワゴン
 十六歳の夏に、父親が、三千六百ドルでステーション・ワゴンの新車を買った。  夏休みのある日、父親は、仕事の用で、大陸の東側へ、飛行機でいった。  父親の部屋に入り、ロールトップ・デスクのうえを見ると、キーがひとつ、キー…
2016.8.1
今日は海岸で雲を見る
 目が覚めてベッドを出る。窓を開く。外を見る。そのとたん、よし、今日は雲を見よう、と決定する日が、ひと月のうちに一度はかならずある。雲を見ること。それは僕の趣味のひとつだ。  僕の好みの雲が出ている日は、体験によって正確…
2016.7.30
五つの夏の物語|5
 七月の最後の週、あるいは八月の第一週、つまり夏のちょうどまんなか、ものの見事に快晴の日に一日でいいから海岸で過ごし、夏を全身に受けとめておきたい。後日のための伏線として。  特別なことはいっさいしなくていい。と言うより…