882編公開中。 今を映す手鏡のように
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2017.1.20
林檎の樹
 星条旗が立っている郵便局の裏をゆっくりとおりすぎると、行手に一本の巨木が見えた。樹木に関するぼくの知識で判断すると、その大樹は楢の樹の一種のようだった。  巨木や大樹は、たいていの場合、神々しさに近いような威厳を、長い…
2016.12.30
ヒロの一本椰子
 昔のハワイ人たちは森林をおそれていた。メネフネなど、不思議な生き物が森のなかにたくさん住んでいるのだと信じていて、そのため、たとえば森のなかに住居をつくったりはせず、海岸の水ぎわの、森のないあたりに小屋を建てて住んでい…
2016.3.11
彼が愛した樹
 メイン・ストリートに面したサンドイッチの店から出てきたぼくは、ごく軽い満腹の状態で、歩道の縁に立った。まっ青な空から、明るい陽ざしが、きらきらと降り注いだ。  目の前に、ダッジのピックアップ・トラックが一台、歩道の縁石…
2015.12.3
レッドウッドの森から
1  川に沿ってのぼっていった。透明さの極限をきわめたような、冷たく澄んだ川の水が、きれいな音をたてて流れていた。砲丸投げの砲丸を平たくしたほどの大きさの砂利が、川底にそして川原いっぱいに、広がっていた。  野生の鹿やエ…