972編公開中。 今を映す手鏡のように
日本人 の一覧
2020.6.29
あるのか、ないのか
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 ある、という日本語について考えてみた。問題とされているその物がどこかに存在していることを、ある、と言う。この、ある、の反対は、ない、というおなじくひと言だが、ありません、という言いかたが日本語には、ある。ある、という状…
2020.6.26
電車に乗れば英語の勉強
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 平日の午後、いつもの私鉄の電車に乗る。空いている時間だから座席にすわり、ぼんやりしていると、車掌のアナウンスをなんとなく聞く。次の駅の名を告げたあと、「左側のドアが開きます」と彼は言う。続いて外国の女性による録音メッセ…
2018.1.22
「ヨコタ・オフィサーズ・クラブ」
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 アメリカの軍事力を、攻撃力のきわめて高い数多くの基地という、もっとも端的なかたちで国内に持ちながら、戦後の日本は独立し、国際社会へ復帰した。その戦後日本の憲法にうたわれている、戦争の放棄という条項のかわりに、同盟国であ…
2017.9.7
銀座で夕食の約束
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 銀座で夕食の約束があった。僕と男性もうひとり、そして女性がふたりの、合計四人だ。女性たちのうちのひとりと落ち合った僕は、コーヒーを一杯だけ飲み、彼女とともに夕方の銀座を夕食の店にむかった。  歩道を歩いていて、あるとき…
2016.7.11
噓と隠蔽の国
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 この本〔『日本語で生きるとは』1999年〕の冒頭に、「英語で生きる人」と題した部分がある。英語で生きるとはどういうことなのか、ということについてごく簡単に書いた部分だ。  英語で人生を生きていく人のありかた、そして生き…
2016.4.20
道路への関心と小説
『佐多への道』という本を何年かまえに僕は英語で読んだ。アラン・ブースというイギリスの人が、北海道の宗谷岬から九州の佐多岬まで、出来るだけ都市化されていない田舎の部分を選んで、ひとりで歩きとおした紀行文だ。歩くということ、…
2016.3.29
とてもいい友人どうし
 彼と彼女は、そろそろ四十歳に近づく年齢の、同世代の日本人だ。どちらも二十代の後半に結婚し、どちらも三十代のなかばには離婚した。いまはふたりとも独身だ。都会のなかで多忙に、しかしそれなりに楽しく、日々を送っている。  こ…
2015.12.30
日本語で生きるとは
「言語は実用の具であるとともに、人としての尊厳を支えるものである」  と書いた一枚の情報カードを、さきほどから僕は見ている。何年も前、本あるいは雑誌から、書きとめたものだ。僕自身の言葉ではない。ほかにもおなじようなカード…
2015.10.24
複眼とはなにか
 複眼、という言葉をよく目にする。複眼の思想とか、複眼のすすめ、といった文脈で使用される。単一のせまい範囲内に限定されたものの考えかたや価値観を越えて、もっと広い視野で自分や世界を多元的にとらえる能力を、一般的には意味し…
2015.10.19
民主主義は買えなかった
 戦争に負け、すっかりなにもなくなってしまった、と日本人みずからあっさり認めた空白の状態のなかへ、アメリカがやって来た。異文化が軍隊という組織となって、日本へ進駐して来た。1945年8月28日、米軍先遣隊、厚木に到着、と…