981編公開中。 今を映す手鏡のように
の一覧
1 2
2020.2.21
スヌーピーと旅したアメリカ6000マイル
縦書き
 ふつう、ぼくは、人形と名のつくいっさいのものに対して、興味を持たない。嫌いなのではなく、人形はじっと見ているともの悲しいし、あるときは薄気味わるくもあるからだ。  身のまわりにながく置いてあった人形には、ぼくたちの生命…
2018.12.3
コニカC35
縦書き
 コニカC35が発売されたのは、昭和四十三年だという。その頃の僕は、どうやら大人になっていた。しかし、昭和四十三年とだけ言われても、思い出す時代のディテールも実感もほとんどない。西暦になおして一九六八年とすると、自分の年…
2017.6.6
道路の小説を書きたい
縦書き
 ぼくは日本の地形と気候が好きだ。地形も気候も、ともに独特であり、このふたつが重なりあった日本は、興味がつきない。  この小さな列島は、亜寒帯から亜熱帯にまで、わざわざまたがるのを意図したかのように、細長い。複雑な海岸線…
2017.6.4
ぼくはなぜブローティガンをいちどにぜんぶ読まないか
縦書き
 丹後半島で白い灯台を見たあと汽車を乗りつぎ、最終的には新幹線で東京へ帰ってきた。  6月の東京は、薄曇りだった。いっしょうけんめいに歩くと暑そうだが、いっしょうけんめいでなければ快適な気温のようだったから、ぼくはいっし…
2017.6.3
一九五一年のアメリカの小説
縦書き
 ある雨の日の夕方、ぼくは都心のホテルにいた。ホテルを出るとき、一階のロビーの奥にあるブック・ショップに寄ってみた。これから駅へいって特急列車に乗り、小さな旅をしなければならないところだったので、ペーパーバックを二冊か三…
2017.5.6
生まれてはじめての旅
縦書き
 ぼくは東京生まれだが、子供の頃の十年ほどを、山口県の岩国(いわくに)、そして広島県の呉(くれ)で、過ごした体験を持っている。  目のまえには、あの独特な瀬戸内海、そしてすぐうしろには、おだやかな中国山脈があり、気候は温…
2017.5.4
小さな旅、愉快な思い出
縦書き
 朝の八時からいっしょに続けてきた仕事を、午後の二時に終わり、ぼくはその仕事相手の女性とふたりで、建物の外に出てきたのです。きれいに晴れた。五月の午後でした。ゆっくりコーヒーを飲もう、ということになり、どこの店がいいか考…
2017.3.10
白い縫いぐるみの兎
縦書き
 一九四五年の二月の後半、五歳の子供だった僕は、両親とともに東京駅から汽車に乗り、途中で一度も乗り換えることなく、東海道線そして山陽本線とたどっていき、山口県の岩国に到着した。汽車のなかで一泊し、合計では二日以上かかった…
2017.1.24
素敵な女性作家たち(2)
素敵な女性作家たち(1) ■本を捜すときには、どうするのですか。カードとか、パーソナル・コンピューターとか、使うのですか。  まさか。そんなことをするわけがないでしょう。買ってある本のつまっている棚のまえに立ち、適当に抜…
2017.1.23
素敵な女性作家たち(1)
■このジャンルの本ならいつでも読みたい、というような領域はありますか。お勧め、というか、この領域のなかならいつ読んでも面白い、というような。*  手近なところでとっさに思いつくのは、いまのアメリカの、女性の作家たちによる…
2017.1.5
どこにもないハワイへの行きかた
 ハワイが島ではなくなっていく、とぼくが、ある日、自覚する。その自覚を土台として、センチメンタルな感情のたかまりが、おこってくる。まだ島としての香りや感情の残っている部分を、なくなってしまわないうちに、まるで落葉をひろい…
1 2