882編公開中。 今を映す手鏡のように
の一覧
2017.6.6
道路の小説を書きたい
縦書き
 ぼくは日本の地形と気候が好きだ。地形も気候も、ともに独特であり、このふたつが重なりあった日本は、興味がつきない。  この小さな列島は、亜寒帯から亜熱帯にまで、わざわざまたがるのを意図したかのように、細長い。複雑な海岸線…
2017.5.6
生まれてはじめての旅
縦書き
 ぼくは東京生まれだが、子供の頃の十年ほどを、山口県の岩国(いわくに)、そして広島県の呉(くれ)で、過ごした体験を持っている。  目のまえには、あの独特な瀬戸内海、そしてすぐうしろには、おだやかな中国山脈があり、気候は温…
2017.5.4
小さな旅、愉快な思い出
縦書き
 朝の八時からいっしょに続けてきた仕事を、午後の二時に終わり、ぼくはその仕事相手の女性とふたりで、建物の外に出てきたのです。きれいに晴れた。五月の午後でした。ゆっくりコーヒーを飲もう、ということになり、どこの店がいいか考…
2017.1.1
『草枕』のような旅を
 夏目漱石の『草枕』という小説を、いまになってやっと、僕は読んだ。たしかにやっとだが、読み終えてふた月ほどたついま、少なくとも僕にとっては、この小説を読むための最適な時は現在をおいて他になかった、と思っている。夏目漱石の…
2016.10.31
本が僕に向かって旅をする
 アメリカでインタネット上に運営されている古書店にしばしばアクセスしては、主としてペイパーバックを買っている。クレディット・カードによる決済を主たる業務とする大きな枠があり、そのなかに世界じゅうから、リアルあるいはヴァー…
2016.9.5
タイム・トラヴェルでどこへいこうか
 タイム・トラヴェル、と片仮名書きされる日本語がある。もとは英語だが、日本語になりきって久しい、と言っていい。なんのことだか意味のわからない人が、けっしていないわけではないが、じつに多くの人におよその意味は通じる。日本語…
2016.5.17
旅と小説はどのように関係し合うのか
 小説を書き始めてから三十数年が経過している。小説と呼び得るものを何編くらい書いたか、見当がつかないほどたくさん書いた、と自分では思っているが、仔細に検討するならじつはさほどの数ではないのかもしれない、という気もする。三…
2016.5.16
ある日ぼくは典型的な山村をながめに新幹線ででかけた
 1  いま自分が書こうとしているこの文章とは関係なく、ぼくは、かなり以前から、日本の典型的な農村をながめてみたい、と考えていた。絵に描いたような農村のたたずまいがつくりだす景色を、実際にながめてみたいと思っていた。農村…
2015.11.6
道という道をぜんぶ
 いつごろから思いはじめたことなのか、自分自身でもはっきりしないのだが、かねてよりぼくとしてはかなり執着して考えつづけていることのひとつに、日本じゅうの道路という道路をすべて体験してみたい、というおかしな願望がある。  …