884編公開中。 今を映す手鏡のように
恋愛 の一覧
2017.5.21
『彼のオートバイ、彼女の島』
縦書き
 これが文庫本になったのは一九八〇年のことだ。それ以前に単行本で出ていた時期が、三年はあったのではないか。そしてそれは『野性時代』に連載したものだ。とすると、書いたのは一九七五、六年だったということになる。単行本で出たと…
2017.2.14
愛と栄光のための戦い
 ロバート・B・パーカーの『愛と栄光』(邦訳はハヤカワ文庫『愛と名誉のために』)という小説をぼくは面白く読んだ。ロバート・B・パーカーが書く私立探偵スペンサーのシリーズは日本でも好評だが、この『愛と栄光』は、パーカーにと…
2016.3.29
とてもいい友人どうし
 彼と彼女は、そろそろ四十歳に近づく年齢の、同世代の日本人だ。どちらも二十代の後半に結婚し、どちらも三十代のなかばには離婚した。いまはふたりとも独身だ。都会のなかで多忙に、しかしそれなりに楽しく、日々を送っている。  こ…
2016.2.14
彼女は彼を愛していた
 彼女は彼を愛していた。彼も、彼女を愛していた。ふたりの関係は、とても素晴らしいものだった。このままいつまでもつづけばいいと、ふたりとも思っていた。  だが、丸二年つづいて三年目目に入ってすぐに、ふたりは別れなくてはいけ…
2016.2.13
四季のひとめぐり
「今日は記念日なのよ」  彼女が言った。 「そうだね」  彼が答えた。 「自覚してましたか」 「ちょうど一年だ。昨年の今日、僕たちは知り合った」 「あれから一年なのね」  平凡な言いかたに彼女は優しい感慨をこめた。 「一…
2016.1.13
ある種の恋人は現場に戻って回想する
 パトリス・ルコント監督は、好みのものをじっと見つめて観察するのが好きな人だ、と僕は思う。自分の好みのものをいつまでも自分のものとしていたいから、彼はそうする。見つめ観察する対象がたとえば彼女というひとりの女性なら、彼女…
2015.12.17
恋愛小説のむこう側
 ごく普通のスタイルで小説を書こうとするとき、主人公という役をつとめてくれる女性と男性を、ひとりずつ作らなくてはいけない。このひと組の男女がなんらかの関係を作り、その関係を変化させ、変化は何重にも重なり、その重なり合いの…
2015.11.5
対等に開放された関係の物語
『エドワード・ヤンの恋愛時代』はなかなか面白い。面白い、という言いかたは、僕の言葉づかいの癖のひとつだ。見ていて盛んに笑うことが出来た、というような意味ではない。いろいろと考えて楽しむきっかけを作ってくれるから、見ておい…
2015.11.2
結婚する理由がない、と彼女が言う
 この短い文章のためにぼくにあたえられているテーマは、「男が結婚したいと思う女性には共通項がある」というテーマだ。ぼくは困った。共通項がある、と断定してある。しかもその断定は、男性の側から一方的になされたものであるらしい…
2015.10.29
最初から絶対に孤独な人たち
 映画『ぼくの美しい人だから』の原作『ホワイト・パラス』(邦訳は新潮文庫『ぼくの美しい人だから』)のことを、ぼくはイギリス版の『エル』に掲載されていた紹介記事で知った。もう二年ほどまえのことだ。この小説は面白そうだ、ぜひ…