972編公開中。 今を映す手鏡のように
太陽 の一覧
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2020.6.24
午後五時の影
縦書き
 ぽっちゃり、という日本語をなんとか英語で言うことは出来ないか、と考えた時期があった。いまから二十年くらいは前のことだ。ごく平凡には、plumpだろう。しかし日本語のぽっちゃりは、語感として明るく、ぽっちゃりしているとい…
2017.11.9
この光と空気のなかに
縦書き
 エドワード・ホッパーの絵を見るたびに感じることについて、僕は書いてみることにする。見るたびに感じるとは、見るたびに感じることの質や方向に沿って、そのたびに、けっして小さくない影響を、ホッパーの絵から僕は受けている、とい…
2017.9.30
三つのパラグラフのなかの彼女
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 ひさしぶりに彼女に会った。夏のまっさかりの日に会って以来だから、ひさしぶりなのだ。いまは、すでに秋が深い。落葉樹の葉は光合成を終わりつつあり、日没の太陽の光を、高くたなびいている絹雲が静かに照りかえしている。  真夏に…
2017.9.28
彼女と一台の自動車
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1  秋の午後、やや遅い時間。あるいは、夕方のすこし早い時間。ダイニング・ルームに客をとおす準備は、まだ終わっていない。早い時間の客は、したがって、ロビーとして使っている部屋か、バー、あるいはテラスに案内される。彼女はテ…
2017.9.2
部屋を楽しんでいる人
縦書き
 いま彼女がひとりで住んでいる部屋の設計に関して、彼女はいっさい関係していない。父親とその弟が共同しておこなっている仕事をとおして、彼女が使えることになった部屋だ。住みはじめて三年になる。破格の条件で使わせてもらっている…
2017.6.23
金曜日の午後の飛行機だった
縦書き
 二階にあるコーヒー・ショップの、奥の窓ぎわの席で、ふたりは小さなテーブルをはさんでさしむかいにすわっている。「コ」の字型の建物が内側へかこいこんでいる内庭のようなスペースを、ふたりは窓ごしに見おろすことができる。内庭に…
2017.5.10
ノートブック
縦書き
 五月はじめのタヒチ。快晴の一日がほぼ終わり、太陽が海に沈む時間がはじまろうとしていた。  ホテルのプールサイドから、人々は部屋にひきあげていた。シャワーを浴びてひと休みしてから、夜の服に着がえるのだ。  プールのわきに…
2016.10.17
ぼくの好きな大空間
 最初に北アメリカ大陸を西から東へ自動車で横断したときは、その横断になんの目的もなかった。とにかく、ただ、横断してみたかったのだ。  あの広大な大陸は、地形が複雑だ。気象もそれに応じて変化する。この、地形と気象の変化だけ…
2016.8.30
長距離トラックと雨嵐
 沈んでいく太陽にむかってアリゾナを西に走ると、あらゆるものが、黒いシルエットだ。  夏の終わりの雨嵐も、シルエットで見ることができる。  行手の荒野が、暗い影のなかにのみこまれている。丘のつらなりや、その丘に生えている…
2016.8.26
ラスト・アメリカン・カウボーイ
 夏の終わりちかく、カンザス州のどまんなか。  どの方向に見渡しても、地平線までまったいらな、農業国アメリカの、途方もなく広い畑だ。  早朝なのに、青い空には熱い太陽が、すでにかんかん照りだ。  大地からは、水蒸気が、も…
2016.7.3
いつも代金を払わない男|アビーロードのB面
 広場の南西の片隅、いつもの位置に、新聞売りの小屋が今日も出ていた。北東の方向から広場にむけて歩いてきた彼は、広場を斜めに横切った。鳩をよけながら、噴水のかたわらを通過した。  新聞売りの小屋のまえに立った彼は、新聞売り…
2016.6.27
陽が射してきた|アビーロードのB面
 彼女がいま自分のものとして乗っている自動車は、叔母から引き継いだものだ。叔母は昨年の春に自動車の運転をやめた。車体ぜんたいのかたちといい、色といい、すべて叔母とよく似た車だ。運転する彼女に対する、反応のしかた、そして走…
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