882編公開中。 今を映す手鏡のように
会社員 の一覧
2017.8.4
会社員が老いていく国
縦書き
 僕に思い出すことの出来る範囲で、キー・ワードをひとつだけつまみ出すなら、それはロマンス・グレーという言葉だ。この言葉は確かに兆候だった。日本は老人の国になる、という認識が確定されていく兆候だ。ロマンス・グレーという言葉…
2017.6.30
会社で学んだこと
縦書き
 会社に就職するとどうなるのかという僕の好奇心に、わずか三か月ではあったけれど、会社は充分に答えてくれた。会社に入って最初にわかったのは、ただの新卒はほとんど人ではない、ということだった。新卒はまず会社の備品になる。備品…
2017.3.30
東京の情緒
 大卒で会社に入り、そのまま従来どおりの定年まで会社勤めをまっとうしたとして、人生七十年のほぼ半分を、その人はサラリーマンとして過ごすことになる。その場所がずっと東京だったら、この二ページ*にあるような光景は、自分と深く…
2017.3.24
なにも言わない人(1)
 戦後の日本人にとって、人生とは会社に勤めることだったようだ。なんらかの会社組織に雇用されてそこに所属し、仕事をして給料をもらい、なおかつ生活のほぼ全領域を会社に依存させること、これが戦後の日本人の人生だった。どこからも…
2016.11.23
社員証と高い付加価値
『スーダラ節』という歌が全国的なヒットになったのは一九六一年のことだ。この歌によれば、サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ、ということだった。文字どおりこの気持ちでいた人たちが多かったと同時に、これでいいのか、このままで…
2016.7.1
七月一日、朝、快晴。円満退社
 ぼくが大学を出て就職したころのことについて、すこし書いてみよう。記憶があいまいになっている部分があるかもしれないが、できるだけ正確に書くつもりだ。  大学四年の五月、六月にかけて、つまり夏休みに入るずっと以前に、おなじ…
2016.6.30
退社までの九十日間について
 大学を卒業すると同時に僕は就職した。西も東もわからない青年が、大学をただ出たからと言って、そのまま会社に入って給料取りになり、それがいつのまにか二十年、三十年と続いてその人の人生になってしまうことに、僕は反対だった。だ…
2016.4.11
渋谷から京橋まで眠る
 自宅からバス停留所までものの三分だ。バスで渋谷まで、普通は十五分だ。十分おまけして、二十五分か。そして渋谷から地下鉄・銀座線で京橋まで、二十五分。五分おまけして三十分。京橋から昭和通りを越えて会社まで、早足で歩いて七、…
2016.1.8
正社員という絶滅危惧種
 正社員、という言葉を目にする機会が多いことに、ふと気がつく。人の口から聞くことも多い。街頭で取材中のTVカメラに向かって、「今年卒業ですけど、会社に入るなら正社員を希望しますね、やっぱり」などと、青年が語っている。ほん…
2015.12.28
サラリーマンという人生の成功
 大学生だった頃、友人たちとのいきがかりのままに、僕はひとつのグループのメンバーになった。友人たちのつながりのなかからいつのまにか発生した、親睦を目的としたごく私的なグループだ。東京都内のいくつかの大学を、横につなぐよう…