884編公開中。 今を映す手鏡のように
五つの夏の物語 の一覧
2016.8.17
五つの夏の物語|4
 湖のほとりは海岸のようになっていた。そこからなだらかに斜面があり、その斜面ぜんたいに芝生が植えてあった。湖のほとりのそのあたり一帯は、ホテルの敷地のなかだ。だから芝生はきれいに手入れされていた。芝生のスロープを上がりき…
2016.8.16
五つの夏の物語|3
 夏子という名前、そしてその名前が良く似合う、夏の権化のような女性は、ひょっとしたらもっとも純度の高い、夏そのものかもしれない。そのような夏子さんの体験が、僕には一度だけある。  高校生の頃に僕が住んでいた家は、おもてが…
2016.7.30
五つの夏の物語|5
 七月の最後の週、あるいは八月の第一週、つまり夏のちょうどまんなか、ものの見事に快晴の日に一日でいいから海岸で過ごし、夏を全身に受けとめておきたい。後日のための伏線として。  特別なことはいっさいしなくていい。と言うより…
2016.7.29
五つの夏の物語|1
1  常夏、という種類の夏がある。一年をとおして季節はひとつ、そしてそれは夏。毎日、目が覚めるたびに、自分は夏のなかにいる。一年じゅう、そのような日が続く。雨が降っていて気温の低い日、あるいはハリケーンが接近しているとき…