973編公開中。 今を映す手鏡のように
主人公 の一覧
2020.7.2
風がそこに吹いている
縦書き
1  そこにいるのは自分ひとりだけという他に人のいない状態を寂しいと言うなら、それはlonesomeだよと、英語で説明されたのは、僕が六歳くらいのときだ。この説明を聞いてlonesomeはよくわかったが、自分では使うこと…
2017.6.13
金魚と散歩だ
縦書き
 梅雨の晴れ間、平日の午後、約束どおりの時間に、僕はその喫茶店の自動ドアを入った。彼女が指定した喫茶店だ。僕もときどきここでコーヒーを飲む。彼女と偶然にここで逢うことが、これまで一度もなかった。そのことについて思いながら…
2017.6.9
ドナルド・ダックのほうがずっといい
縦書き
 ドナルド・ダックの鉛筆削り、というものをぼくは子供のころ持っていた。ドナルドの胸から上がかたどってあり、テーブルや台の上に固定して使うものだった。鉛筆をさしこむ穴はドナルドの上下のくちばしのあいだにあり、彼の頭のうしろ…
2016.1.11
だから彼らはいまでも半人前が好き
 僕はこれまでにかなり数多くの小説を書いてきた。ごく特殊な場合を別として、ストーリーにはそれを支えて進展させていく人、つまり主人公というものが必要だ。僕が書く小説の主人公は、ほとんどの場合、女性だ。僕の小説のなかで、主た…